全国のあしながさんが味方です 前向きに勉学に励んで|玉井義臣より VOL. 10
「あしなが奨学金は全国の心ある方々の善意で成り立っています。志を高く掲げ、様々なことを学びながら成長してください。」
6月10日、11日に、在学中の大学生・短大生を対象とした奨学金の説明会と面接試験がオンラインで行われ、冒頭の挨拶では本会会長 玉井義臣が受験生に向けて鼓舞激励しました。
1973年にあしなが運動に伴いスタートした大学奨学金制度は、今年はちょうど50年目の節目を迎えます。奨学金制度は時代に合わせて変化し続けてきましたが、全国のあしながさんのご厚意によって賄われていることは創設以降ずっと変わりません。
これからあしなが奨学生となる学生たちにそのことを伝えたい、と、玉井が受験生におくったエールの言葉をご紹介します。
社会を良くする好循環を生み出して
皆さん、おはようございます。
街頭募金で集めたお金を奨学金として初めて出したのが1969年(高校生)。その後現在まで継続しているあしながの奨学金は現在も街頭募金を中心としています。郵便振替や銀行振込でいただくこともありますが、全国の心ある方々の善意で成り立っていることをあらかじめ申しあげておきます。
皆さんもご存知の通り、ロシアがウクライナに侵攻して以降、物価が非常に上がってきています。皆さんのお母さんたちも大変厳しい経済環境にあると思います。
しかし、このような厳しい状況のなかでさえ、あしながの街頭募金は春・秋の2回に全国で実施することで大きな注目を得ることができました。これは皆さんの進学を支えている原動力です。まずはこれをしっかり理解してください。お役所からいただくお金ではなく、お金持ちからいただくお金でもなく、皆さんの進学を支えたいという心ある方々のご寄付であることを忘れないでください。これは非常に大きな意味を持ちます。
皆さんが志を高く掲げて勉強することで、将来的に社会に還元される、という意味も含まれています。社会にはたくさんの温かい方々がいます。皆さんが遠慮なく勉強して、それを貧しい方々に還元する機会があれば、皆さんは今度「与える」側に回ります。このような長い循環のなかで生きていくのだ、ということを決して忘れないでください。
また、皆さんにはこれからも一人でも多くの後輩遺児たちを支援するためにあしなが運動に参加して頑張ってくれると私は嬉しいです。皆さんはこうした活動を通じて、決して自分自身を卑下するのではなく前向きにとらえ、社会をより良い方向へ持っていける好循環を生み出してください。
お金を借りることに対してコンプレックスを感じる必要は一切ありません。恥ずかしさみたいなものは一切捨ててください。みなさんが活動に参加することによって社会の役に立つわけです。皆さんはこうした活動を通じて、様々なことを学びながら成長してください。
募金と聞くと、なんとなく「恥ずかしい」とか「暗い」というイメージを持つかもしれませんが、お母さんやお父さんは好きで病気などで亡くなられたわけではありません。他にも同じような仲間たちがたくさんいます。彼らとともに大学を卒業し社会に尽くす、そういうことを考えてください。
全国のあしながさんたちが皆さんを応援してくれています。そのことを胸にしっかり受け止めて勉強だけではなしに、あらゆることを経験し、成長していってください。皆さんには大いに期待していますので、頑張ってください。
面接では、言いたいことを遠慮なく言ってください。私たちは皆さんの味方です。落とすために意地悪な質問をすることはありません。頑張ってください。
2023年6月10日 あしなが育英会 会長 玉井義臣