街頭募金で若者は成長する|玉井義臣よりVOL. 11
「誰と出会ってどういう言葉を交わすか。『一つの言葉』がその人間を変えることだってある」
4月22日・23日・29日・30日の計4日、全国約150か所で『第105回あしなが学生募金』が開催されました。
先月1日、あしなが学生募金事務局長を務める谷口和花菜さん(大阪教育大3年)が本会会長 玉井義臣に無事実施したことを報告しました。
谷口さんは学生募金で感じた課題について話すと、玉井は「学生募金は成長のための絶好のチャンスです」と激励しました。
谷口さんに向けて送った玉井のメッセージは、本会の機関紙『NEWあしながファミリー』182号の編集長コラム『共生』に掲載しています。
谷口さん、君たち学生のおかげで、ようやく本来の学生募金を復活させることができたね。ほんとうにありがとう。でも、課題も見つかったね。
学生募金運動で大事なのは前回と違うポイントを、調査とか現状のお母さんの声とかから見つけて、報道機関を通じて社会に伝えるということなんや。前回の募金リレーのときと同じ人間が街頭に立って、前回以上に声をからして呼びかけているのに前回より反応が薄いというのは、訴えている内容に新しみがないということ。それは常に君たちで考えないといかん。遺児家庭の状況がどう変わっているか、どう苦しくなっているか。みんなで話し合って、強調しようという点を探し出して訴えると、本当に違ってくると思う。
また、北海道から沖縄まで、東京からもってきたままの意見や訴えを記者に伝えても、それはアカン。それぞれの地域の特色を見つける工夫が必要。そういう話し合いとか、ものの見方っていうのは常日頃養っていかないと、一朝一夕には身に付かない。
分析もできるようになり、説得もできるようになって社会に出たら、学生募金はその子にとって有益だったと言える。そう考えてやったら、ますます伸びますよ。
募金の期間中に、いろいろ募金のことについて人に話すやろ? 話をするためには、いろいろ資料を読んだり先輩の意見も聞くわけやね。その中で一番自分がしゃべりたいことを訴える。だから材料が豊富で、いい先輩から指導を受けた人の方がより成長するわけ。私たち職員も、貴重な時間を君たちからもらっているんだからと考えて指導してきた。だから総合的にあしなが運動のプラスになってきたと思う。そのプラスの総和、全部の分量が大きくなるようにやっていくことが運動を大きくしていくことになる。だから職員も、何を聞かれても、その子にプラスになるような話ができるように自分を高めておかないと対応できない。
正解が一つだった受験勉強までと違って、大学に入ったらいろいろな問題について、それぞれの答えが違ってくる。そして、学年が上がっていくにつれて、また答えるレベルが違ってくるの。だから、卒業してからものすごい差ができてくる。学生募金というのはそういう意味で、全国の同級生、同時期の学生がたくさん全国にいる。その中でも差別化していける、ものを考える絶好のチャンスなんですよ。事務局がそれを教えていかないといけないね。
人間は誰と会ってどういう言葉を交わすか。それに引っかかるか全然引っかからないか。「一つの言葉」がその人間を変えることだってしばしばある。それが人生の〝出会いの妙〟というものです。
(2023・6・1記)
『NEWあしながファミリー』182号 「共生」より