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どんなときも、ベストを尽くして|カリスさん

カリスさん(慶應義塾大学1年生・カメルーン出身)

 

サブサハラ・アフリカ各国の優秀な遺児学生を奨学生として採用し、世界中の大学への留学を支援し、未来のアフリカを支えるリーダー人材を育成する「あしながアフリカ遺児高等教育支援100年構想(以下、100年構想)」。2020年度初頭に新型コロナウイルスが世界的に大流行してからというもの、世界各国で渡航制限が続き、100年構想採用学生の多くが未だに留学国に渡航できず、母国に足止めされています。

 

奨学生採用後、約1年間の準備期間を不断の努力と強い気持ちで乗り越え、大学への切符を手に入れた100年構想採用生たちは、難しい判断を迫られることになりました。渡航ができない場合、入学時期を延期するか、入学時期を変更せず母国にいながら授業を受けるかのどちらかを選ばなければなりません。しかし、アフリカと日本の時差は少なくても6時間、大きいと9時間にも及びます。それに加えて、インターネット環境の悪さが障壁となり、オンライン授業への参加がどうしても難しいという学生も少なくありません。

アフリカから日本の大学のオンライン授業を受ける

カメルーン出身のカリスさんは2020年度に100年構想第6期生として採用され、2021年9月入学生として、日本の慶應義塾大学に合格しました。彼女も渡航制限にかかり、来日できなくなった学生の一人です。

 

彼女の場合は、入学時期を変更せずに、大学の授業をオンラインで受講する方法を選びました。現在は、環境情報学部で環境と農業について学び始めています。しかし、彼女がいるのは日本から遠く離れたカメルーン。オンライン学習を実現するには想像以上の苦労が伴います。

 

オンライン授業に参加するカリスさん

「カメルーンと日本の時差は8時間もあります。私の場合は夜中の1時に起きて4〜5時間のオンライン授業を受けるので、毎日とてもストレスがたまります。その後、家事をしたり、母国で取り組んでいる活動に参加したりして、帰宅後にまた勉強や宿題をしたり、次の授業の準備をしたりしています。夜中の1時頃には、また起きて授業を受けなければなりません。


カメルーンでは、インターネットの接続状況も非常に悪いです。常に電力不足なので、その影響も大きいですね。自宅では、いつも授業に集中しようと努力していますが、やる気がなくなってしまうこともあります。一緒に頑張ろうと励まし 合える、やる気を出させてくれる仲間がいないことがつらいです。いつも一人です。」

 

困難な状況がある一方で、カリスさんはこの状況に直面したからこそレジリエンス*を高めることができたと言います。(*ストレス耐性や問題への適応力)

 

「どんなに難しい状況であっても、私はできるかぎり最善の対応をするようにしています。電気やインターネットが使えないかもしれないと思ったら、授業の1時間前に教授に連絡して、接続が切れてしまっても問題ないように準備しています。さらに、2社の異なるネットワーク会社からデータを購入していて、2つで補完し合うようにしています。万が一、どちらかのネットワークがダウンしても、もう片方の回線に切り替えれば、オンライン授業を続けることができます。

 

それから、週に一度、友人たちとミーティングを行い、自分たちが直面している問題について話し、お互いに励まし合うようにしています。

 

 

仲間たちを励ましあうことも大切

 

 

自分自身のモチベーションを高めるためにもできる限りの努力をしていて、たとえば、走る、歩く、歌うなど、自分が楽しいと思えることをしています。水分とエネルギーを補給するために、たくさん水を飲み、たくさん食べて、元気を出して頑張ります!」

あしながさんの応援が100年構想生を支えています

コロナ禍で、多くの100年構想生たちが難しい状況に置かれている状況が、もうすぐ2年目を迎えようとしています。どんなに難しい状況であっても、夢を叶えるための大学進学をあきらめず、目の前の問題を乗り越える工夫と努力を、学生たちは続けています。

 

現在、日本への留学を予定している学生は18人。そのうち6人は2020年の秋に来日する予定でしたが、留学ビザの新規発給手続き停止により、今なお渡航を待ち続けています。

 

そんな状況でも、学生たちが夢を諦めることなく、置かれた環境の中で努力し続けることができるのは、いつも応援してくださるあしながさんのおかげにほかなりません。これからも皆様のあたたかい応援、よろしくお願いします。

 

 

 

 

カメルーン共和国

面積:475,440平方キロメートル(日本の約1.3倍)

人口:2,654万人(2020年世銀)

首都:ヤウンデ

民族:バミレケ族、ファン族、ドゥアラ族等約250部族

言語:フランス語、英語(共に公用語)、その他各部族語

 

カメルーンといえば、2002年日韓共催のサッカーワールドカップ。大分県をキャンプ地としたカメルーン代表は一躍地元の人々の人気者になりました。

 

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