【小中学生学習支援】ラーニングサポーターによる報告会を実施しました
あしなが育英会は2020年10月より、小中学生対象の学習支援「ラーニングサポートプログラム(LSP)」という新たな取り組みを行っています。LSPでは本会奨学生の大学生が中心となり、遺児家庭の小中学生に学習指導を主とするサポートをしています。
◇ラーニングサポートプログラム(LSP)の詳細はこちら
教育格差是正への新たな挑戦~LSP(ラーニングサポートプログラム)
プログラムの成果を振り返る報告会を実施
2022年3月5日、「ラーニングサポートプログラム(LSP)」で遺児小中学生の学習支援をしてくれた大学生等「ラーニングサポーター」による報告会を実施しました。当初は対面での実施を予定していましたが、新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」期間のため、オンラインでの開催となりました。
2021年度に遺児小中学生の学習サポートを続けたラーニングサポーター約20人、あしなが育英会のLSP担当スタッフが参加し、小中学生の成長といった1年の成果を振り返ったり、今後のLSPの発展について議論したりしました。報告会にはLSPにAI教材「atama+」を無償提供してくださっている「atama plus 株式会社」のご担当者も、オブザーバーとして参加してくださいました。
1年間の「振り返りグラフ」を作成
LSPでは小中学生とラーニングサポーターがペアとなって学習サポートを続けています。報告会では、まず「この1年間、ペアでどのようにサポートを進めてきたか」振り返るために、横軸に1年間での経過、縦軸にペアでのサポートが積極的・意欲的かそうでないかを示したグラフを作成し、グループで発表しました。
1年の様子を目に見える形で振り返る機会となり、また、他のペアの様子も知ることができ、1年を振り返るに当たってこれまでの経過を整理することができました。
成果があがっているペアの特徴
あしなが育英会に勤めているインターンより、毎回の学習サポートの記録から「成果があがっているペアの特徴」を集約した結果を「Good Example」として報告しました。
小学生のペアでは「毎回のルーティーン(決まった取り組み)を決めている」、「雑談にこそ学びのヒント」、中学生のペアでは「目標を設定すること」、「小さな成長を大切にする」、「毎週1回1時間のサポート以外の時間をどうサポートするか」、そしてすべてのペアで「ラーニングサポーターがどんなときでも小中学生を近くで支え、一緒に歩む存在であること」が、成果に結びつくペアの特徴であると報告しました。
ラーニングサポーターによる報告プレゼン
続いて、ラーニングサポーターより、最終報告のプレゼンテーションがありました。ペアとなっていた小中学生の成長・変化、印象に残っているエピソード、サポート中の時間の使い方、LSPへの提案などを発表しました。
齊藤紀織さん(大学3年、中3女子を担当)
サポートの頻度は最初は週1だったんですが、最近は週3まで増えてます。一番印象に残っているのは、本人は金銭面を考えて「公立高校に進学したい」と思っているけど、保護者は「公立でも私立でもいい」と言っていたことです。最終的には私立で入りたい科があって、そこを選びました。
その子の変化としては、最初は「私なんか」、「努力しても無駄」という口癖がとても多くて、それがだいぶ少なくなったと感じます。部活を引退して「今から何をしよう」という話になった時に「自分で頑張って前向き思考に持っていきたい」と話してくれました。それからはマイナスな言葉も時々出るんですけど、「ダメだダメだ、プラスだ」と前向きな言葉を言うようになりました。
小熊桃佳さん(大学4年、小5男子を担当)
毎週5問ずつ漢字の書き取り問題をやるようにしました。最初はお手上げでしたが、「この漢字はこうやって覚えるといいよ」と1問に時間をかけて取り組み、最近は問題を見ただけで「あ、分かる」って書けることが増えました。自力で解けたら花丸をつけるので、花丸をいっぱいつけられるようになってうれしいです。
最初のころは「分からないところない?」と聞いても「うーん、大丈夫」という感じでしたが、最近は「ここは分かるけどここは分からない」と言ってくれるようになって、「間違ってもいいんだ」って思ってくれることが増えたと思います。失敗しても「次はこうしようか」「ここは難しいからね」ってできるだけプラスに感じられるように声をかけていました。
どの発表からも、ラーニングサポーターが小中学生について「どんな性格の子なのか」、「どんなことを勉強したいか」を理解しようと努め、接し方や学習サポートを工夫してきたことが伝わってきました。
LSP成果はラーニングサポーターの尽力の賜物
ラーニングサポーターの報告の通り、多くのペアで小中学生の成長を見ることができました。ラーニングサポーターはボランティアで毎週1時間を割いてサポートしています。貴重な時間の中で小中学生に真摯に向き合って、共に学び合うなかで、信頼関係を築いてくれました。
これまで様々な困難を乗り越え努力してきたラーニングサポーターが、同じような困難を抱えがちな遺児小中学生の学習をサポートする「ラーニングサポートプログラム」は、ラーニングサポーターの尽力なくして成り立ちません。ラーニングサポーターの皆さんにこの場を借りて御礼申し上げます。
2022年度ラーニングサポートプログラムは現在準備中です。来年度もひとりでも多くの遺児小中学生の学習をサポートできるよう、スタッフ一同邁進してまいります。