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学生寮あしなが心塾

遺児たちは奨学金で高校は進学できても、首都圏や関西圏の大学に一人暮らしで進学することは経済的に困難です。また、早くに親を亡くし、片親が夜遅くまで働いて疲れて帰ってくるひとり親家庭では、遺児たちは文化・教養面でもハンディキャップを負ってしまいます。

そこであしなが育英会では、たとえ生活保護世帯の子でも都市部の私大に進学できるように、寮費月1万円で2食付の学生寮「虹の心塾(神戸・1999年~)」と「あしなが心塾(東京・2006年~)」を運営しています。心塾では、「礼儀・挨拶」を重んじ、「読み・書き・スピーチ」のカリキュラムなどを通じて、自立して生きていける力を身につけさせ、世のため人のために働く人づくりを目標としています。現在、東京と神戸あわせて150人以上の心塾生が、明るく元気に切磋琢磨の日々を送っています。

心塾が目指す理想の人間像

心塾は、「暖かい心、広い視野、行動力、国際性を兼ね備え、人類社会に貢献できる人材」の育成を目指しています。そうした人材を遺児の中から輩出することで、ひいては日本全体、世界全体の人類的発展に寄与するものと考えています。そのための人材教育として、東西の心塾では、以下のような様々な取り組みを行っています。

1.「4人部屋」


「他人と一緒は窮屈だ、ひとり自由気ままに過ごしたい」と多くの若者たちは考えていますが、本当はみんな「生涯つきあえる友だちがほしい」と思っているはずです。心塾では卒業間近の上級生になるまで「4人部屋」で過ごします。寝食を共にし、自分のことを語り合い、時にはぶつかり合い、そして分かり合うことで、真の友情が生まれていきます。生涯つきあえる"心の友"、これこそが心塾で得られる最大の財産です。人を知り、自分を知り、一生の友を得てほしいと願います。

2.「挨拶・行事・塾生面談」

挨拶励行、礼儀重視は当たり前ですが、日本の若者からそれがなくなってきています。世界中どこの国でも人とのつきあいはまず挨拶から始まります。文化が変わっても礼儀正しさこそ人間関係を、人生を豊かにします。心塾では、挨拶、掃除に表れる美しい心を大切にしています。朝の点呼、門限などの規則もあり、規律ある生活を心がけています。

また、入塾式、卒塾式、学期ごとの始業式、終業式、新入生歓迎会やスポーツ大会など様々な行事があり、季節ごとの節目や交流を大切にしており、まるで学校のような雰囲気です。地域社会とのつきあいを大切にするため、お祭りには「だんじり」を曳き、年の暮れには近隣の人とモチつきもします。夏休み前と学期末には、塾監(心塾職員)が塾生1人ひとりの悩みや、生活全般についての相談にのるため、「塾生面談」を行っています。

3.「読み・書き・スピーチ」


知的生産の技術であり、自立して生きていくための必須のノウハウ・スキルです。これを塾生時代に徹底的に身につければ、一生やっていける自信と力になります。自分の意見を持ち、表現できる人になり、人のためにも働ける人となります。

(1)読書感想文
毎月、課題図書2冊を読んで感想文を書き、ベテランのジャーナリスト講師が、それを添削してくれます。これまでまったく本を読んでいなかった人も、読書の習慣、読み方が身につき、本を一生の友とする塾生が多くいます。最低でも4年間で100冊は読むことになり、古典や新書、小説や専門書など、あらゆる分野の本を読むので視野が格段に広がります。読書を通じて身に付く思考力、洞察力、理解力は、生きる上で非常に役立ちます。

(2)心塾講座
日本の問題、世界の問題、自分や身の回りの問題が混在する社会。幅広い知識と経験、豊かな価値観を育てなければ解決の糸口さえつかめません。心塾講座は、各界から一流の外部講師を招き、自分の大学の専攻とは関係なく、様々な「人生論」を講演してもらえるのが醍醐味です。講演後は出題されたテーマに従って作文を書き、文章のプロが添削指導してくれます。自分の意見を持つこと、小論文の書き方の訓練にもなります。大きな意味での「生き方」を学びます。

(3)スピーチ講座
一つのテーマについて、3分間で自分の意見をまとめて、大勢のみんなの前で発表します。「私のふるさと」「最近気になること」「戦争と平和」など、テーマを決めて準備します。一番大切なのは、自分の考えを持ち、相手にわかりやすく正確に伝えること。ベテランアナウンサーや塾生の先輩アナウンサーによる指導により、みるみる上達し、人前で話すことが楽しく得意になっていきます。これからの時代を生きる若者に、避けては通れない必須スキルが身につきます。

心塾生は、上記の他に、大学・専門学校奨学生への教育プログラム へ参加しています。

普遍的価値を求め世界で通用する人づくりを

親の学歴と所得が子の学歴と学校歴(有名大学)を規定するようになった今日、非常に貧しく、親に高い学歴もない遺児たちが輝いて生きていくためには、つらさ、厳しさをいとわず、普遍的価値を求めて学ぶことが必要不可欠です。目標を定め(Self-Image)、心許せる友と一生懸命に勉強・仕事(Work Hard)をし、人類のために何ができるかを考え続け、行動に移せる「世界的考動人」になること。それが、自らと他者の幸せ実現であることを、私たちは心塾経験を通じて真理だと考えています。


巨木を育てる心塾教育の図(玉井塾長直筆)

巨木を育てる心塾教育の図(玉井塾長直筆)


大学・専門学校奨学生への教育

あしなが育英会の目指す人材像は、『「暖かい心」「広い視野」「行動力」「国際性」を兼ね備え人類社会に貢献するボランティア精神に富んだ人材』です。

そのために、学生寮「あしなが心塾」「虹の心塾」の学生を含む大学・専門学校奨学生に対して、以下のような教育を行っています。

あしなが活動のリーダー


春と秋のあしなが学生募金活動(街頭募金活動)、夏のつどいでリーダーを務め、人の心を動かし、多くの人を巻き込んでいく力を身につけます。また、仲間と共に目標を達成するという経験は大きな自信になります。同じつらい体験をしている弟・妹、後輩遺児のために一生懸命頑張ることで、後輩の変化・成長を我が喜びとして感じられる感動がそこにはあります。そして、後輩を鏡にして自分のことも考え見えてきます。このリーダー経験を積むごとに、タフでやさしいリーダーになっていきます。

100キロ挑戦

100キロの道のりを、仲間と共に一昼夜かけて歩きます。チームで弱い人をかばいながら、体力の限界を精神力で乗り越える体験は、生涯の自信につながります。

海外留学研修・異文化体験


「海外留学研修」は1年間。国はウガンダ、中国、インドネシア、メキシコ、ベトナム、インドなどで、毎年20人程度、全国の遺児学生が日本語教師や現地遺児の心のケア活動のボランティアをしています。異文化に身を置き、文化や価値観の多様さに目を見張り、新しいものの見方や考え方が生まれていきます。自分のやらねばならない勉強の方向性も見えてきて、帰国すると顔がひきしまり、大人になり、自分の目標を定めて、それに向かって勉強をしっかりやるようになります。一生ものの体験です。

1か月程度の短期研修でも、ライオンズクラブの「YE派遣制度」が毎年40日間約5人~10人、30年以上続いています。南カリフォルニア日系商工会議所は、毎春6人の遺児大学生を3週間招いて「ホームステイや福祉施設での研修」をさせていただいています。短期とはいえ、学生たちは「目からウロコが落ちた」と目を輝かせます。

これからは、アジア、アフリカ、中南米などの途上国に働きに出るのが普通になる時代です。どこに行ってもうまくやっていける「国際性」が、欠かせなくなっています。できれば学生寮「あしなが心塾」「虹の心塾」の学生には全員、海外体験をさせたいとすすめています。


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