あしなが育英会 アフリカ遺児・教育支援「1日1ドルの世界」

2012-09-27

秋篠宮殿下、紀子妃殿下 ウガンダ虹の家ご訪問(理事・スタッフの声)

エイズ遺児と心の交流

 2012年6月、秋篠宮殿下と紀子妃殿下がウガンダ共和国を公式訪問され、13日、「ウガンダレインボーハウス」にもお立ち寄りくださった。両殿下のご訪問は、あしなが育英会のアフリカにおける10年間の活動が国内外で認められた日でもあった。
 「あしながウガンダ」をウガンダ政府に登録してちょうど10年になる今年は、玉井会長のマケレレ大学講演や秋篠宮両殿下のご訪問、そして秋にはエイズ遺児ナブケニャ・リタさんが米国バッサー大学へ研究員として留学するのに続いて、「あしながウガンダ心塾」の建設も始まる予定。
 「ウガンダレインボーハウス」を03年12月に建設した当初のプログラムは「心のケア」だけだった。その後、寺子屋教室がスタート、日本へ留学生を毎年送れるまでにエイズ遺児たちも育ってきた。エイズ遺児の登録者数も800を超え、寺子屋では50人以上の生徒が明日の留学を夢見て勉学に励む。06年のリタさんの留学からすでに15人がウガンダレインボーハウスから日本の難関大学に合格し、東西心塾で新リーダーを目指してさらに勉強を続けている。
 あしなが運動40年の歴史上に、今後も国内遺児の教育支援はもちろんのこと、世界、特にアフリカ遺児の教育支援に世界中から「新あしながさん」を募りながらすすめていきたい。なお、両殿下のあしながウガンダご訪問の際に公式通訳を務めたのは、元あしなが育英会副会長・故西本征央さん(慶応大医学部教授)の長女、西本光里・外務省在エチオピア日本国大使館書記官である。(岡崎祐吉・国際課長/国際担当理事)



大役を務めたサラさん

 「妃殿下はとてもやさしくて、絵本を一緒に見ていたとき、まるで家族といるかのように心地よかった」。秋篠宮両殿下にお贈りした手作りの絵本の主人公になったサラ・ナマクラさん(10)。少々恥ずかしそうにしながらも満面の笑顔で、紀子妃殿下に絵本をお贈りした際のことを話してくれた。
 サラさんは幼い頃に両親をエイズで亡くした。祖母に引き取られたが、祖母は生活費を稼ぐのに忙しく、寂しい思いをしながら育った。毎日、寺子屋に通うことを楽しみにしている。
 現在、サラさんは寺子屋の3年生。1年生の入学当初、彼女は鉛筆の持ち方さえ知らず、病気がちだった。寺子屋教師のテディ・ナンスブガ先生は彼女のことを非常に心配したが、学力的にも向上し、身体も丈夫になった。「サラは勉強に熱心で、心やさしい子」と、テディ先生は話す。
 サラさんは家でもよく働く。寺子屋から帰宅するやいなや、まず水汲みに行き、次に薪を拾いに行く。小さな身体で、重たい薪の束を頭の上に乗せて家まで持って帰る。その後、一緒に住んでいる双子たちを水浴びさせる。そんな働き者のサラさんの将来の夢は、学校の先生になることだ。現在、寺子屋ではサラさんのような生徒55人が勉強している。
 サラさんは、秋篠宮殿下も紀子妃殿下もお若くて驚いたようだ。サラさんをはじめ、寺子屋生徒にとって、両殿下にお会いできたことは一生の思い出となった。
とてもシャイなサラさんだったが、今回、大役を務め、少し自信がついたようだ。以前と比べて、積極的になった。「いつの日か、妃殿下に会いに日本に行きたい」と話すサラさんの笑顔が、まぶしいほどに輝いていた。(沼志帆子・あしながウガンダ現地代表)

遺児たちの人生に喜び

 今年はウガンダが独立してちょうど50年が経つので、我が国にとっての「50周年記念祭」の年に日本の皇族方がウガンダを御訪問してくださったことは大変光栄であった。この50年間、両国は友好関係を築き上げてきたが、今回の両殿下の御訪問で、私たちの関係は更に深まったはずだ。
 ウガンダにはそれぞれの地域に王国があり、王族方には尊敬の念を持っている。それだけに、ASHINAGAウガンダが秋篠宮両殿下の御訪問先として選ばれたことは、非常に名誉あることだった。訪問当日は、現地のテレビや新聞にも大きく取り上げられた。
 秋篠宮両殿下はとても心やさしく、一人ひとりの寺子屋生徒に声を掛けてくださった。ウガンダでは、皇族方の御訪問は恩恵と信じられているので、子どもたちの人生に大きな喜びをもたらした。
 昨年3月、日本が地震、及び、津波の被害に遭ったにもかかわらず、ウガンダへの支援は減ることはなかった。日本のみなさんの「愛」に、ウガンダ人を代表して、心より感謝いたします。(サミュエル カルハンガ・あしながウガンダ理事)

笑顔でダンス披露

 TERAKOYAの子どもたちは元々、通学する近所の子を横目に、一日中家で過ごしていた子どもたち。
 その子どもたちが、両殿下の前で伝統ダンスを披露できる。練習は決して楽ではなかった。全員が一からのスタートだ。何人も泣きべそをかきながら、必死にステップを覚えていた。初めて衣装をまとった日。初めてドラムに合わせて踊った日。その度に、あふれんばかりの笑顔がこぼれた。当日、大人すら緊張する両殿下の御前、子どもたちは、笑顔を振りまきながら踊っていた。演技が終わっても、子どもたちはずっと笑っていた。汗を流し、目に涙を浮かべ、ずっと満足そうに笑顔を浮かべていた。        (松井佳記者)

想像と個性の集大成

 〝イメージを絵に描く〟ことは、日本では当たり前のこと。実はウガンダの小学生には非常に難しく、小学校で美術を教えている学校自体が珍しいのだ。  TERAKOYAでは日本人・ドイツ人ボランティアの協力の下、毎日芸術の時間を設けている。  今回の秋篠宮両殿下のご訪問にあたりプレゼントした絵本は、そんな生徒たち全員が両殿下を想って描いた集大成だ。出来上がった絵はみな個性にあふれ、目を見張る作品ばかりだった。処方箋のない貧困に直面する生徒たちだからこそイマジンする力が必要だ。想いと生徒たちのエネルギーが詰まったプレゼントとなった。  (山田優花記者)