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職員インタビューエンノシタ「人とのつながりを大切に」

職員インタビューエンノシタ#3 

「人とのつながりを大切に」

飯野 健治(アフリカ事業部第3課) 

 

ブラジルで生まれ育ち、ポルトガル語、日本語、英語を話す頼れるトリリンガルスタッフとして、留学生のサポートやデータ管理などを担当する飯野職員。大学生のときにインターンとして来日し、あしなが奨学生とともに心塾で過ごした経験が、今の仕事につながりました。「各国から選ばれて、世界中の大学で学んだ優秀な卒業生たちが、あしなが育英会とつながり続けることは、とても重要と考えています。これから成長が期待されるアフリカ大陸で、日本と関わりのあるリーダーたちが活躍することは、日本とアフリカの国々にとって、大変有益で有意義なことだからです」

ご縁があってあしなが育英会へ

ぼくはブラジルで生まれ育ちました。父は日本からの移民、母はイタリア系ブラジル人です。父が日本の大学で学んでいた頃、すでにあしなが運動を行っていた若かりし頃の玉井義臣(あしなが育英会会長)と出会いました。もう40年以上も前の話です。玉井会長は、ブラジルに移住した父を、度々訪ねてくださいました。2人の話から、ぼくは自分の祖国日本に興味を持ったのです。

 

2012年12月に、初めて日本に来る機会を得ました。1年間、あしなが育英会の特別研修生(現在のインターン生)として心塾の学生に関わりました。心塾は留学生を迎えて国際化したものの、言語・文化の違いが壁となり、日本人学生と留学生がうまく交流できていない状況がありました。そこでぼくが学生の間に入って交流を促したり、積極的に英語で会話するよう、日本人学生の背中を押したりしました。

 

2015年には、あしながウガンダで、3ヶ月間のインターンシップを経験しました。「あしながアフリカ遺児高等教育支援100年構想(英語名Ashinaga Africa Initiative、以下AAIと省略)」の留学プログラムに招聘された、アフリカの奨学生(以下AAI生)たちに勉強を教える仕事でした。それらの経験から、あしながの活動に強く興味を持って、2017年に日本のあしなが育英会に入局しました。

支援団体でも、データ解析は重要

あしなが育英会のような団体においても、一般の企業と同じように、データを集めて解析することはとても重要です。あらゆることがデータから分かるからです。ぼくはAAIに関わるデータの集約や分析を行っています。日本のみならず、あしながの海外6カ所のオフィスとも連携し、データシステムマネージャーとして情報管理を行っています。同時にAAI生のキャリア支援と、卒業生のネットワークづくりも担当しています。

 

具体的にどのようなデータを集めているかというと、AAI生の選抜・採用のデータに始まり、専門分野、将来のキャリアプラン、大学での成績、在学中に残した業績、リーダーシップをどういう形で発揮したかなどなど…。AAIに関するあらゆるデータを集めています。

 

AAI生は「卒業後アフリカに戻り、5年以内にアフリカ社会に貢献できている人材となる」というミッションがありますので、その目標が達成できたか追跡する責任があります。サブサハラ・アフリカの各国から選ばれて、世界中の大学で学んだ優秀な卒業生の専門分野は、多岐にわたっています。分野も地域も違う卒業生たちがネットワークでつながり、あしなが育英会ともつながり続けることにはとても意味があり、重要と考えています。これから成長が期待されるアフリカ大陸で、日本と関わりのあるリーダーたちが活躍することは、日本にとっても、アフリカの国々にとっても、大変有益で、有意義なことだからです。

最も大事な時期をあしなが奨学生と過ごした

ぼくが学生の頃、ブラジルでは16歳で大学に進学することができました。現在は18歳で大学進学、と改められましたが、ぼくは16歳で大学進学を決めました。日本では高校1年生の年齢ですよね。大学の専攻を決める、進路を決めるといっても、16歳でそこまではっきり自分の進路が決まっている人は多くありませんでした。ぼくも分かっていたのは「大学に行きたい」ということだけ。奨学金が受けやすく、将来稼げる分野は何か…と自分なりに考えて、マーケティングを専攻しました。そんなぼんやりとした理由で決めた専攻でしたから、大学在学中に、日本に来て奨学生と触れ合えたことは、将来を決める上でも、とても意味がありました。

 

ウガンダで教えていたAAI生からも、たくさんの学びと気付きをもらいました。特に印象に残っているのは、モザンビークから来た学生です。彼はぼくより3歳くらい年下でしたが、早くに両親と死別して苦労も多かったためか、年齢よりもずっと大人の感性を持っていました。当時、多くの悩みを抱えていたぼくに、自分では考えたこともないようなアドバイスをたくさんしてくれました。彼とは心に残る会話をたくさんできたことを覚えています。心塾生やAAI生を教えながら、自分も多くを学ばせてもらいました。職員となって、自分が以前教えていた学生たちが成長して、卒業して、社会に巣立っていく姿を見られたのは、本当に感動的で、大きな喜びでした。

 

ウガンダでインターンをしていた時。子どもたちと、他のインターン生たちと一緒に。

学生のみなさんに伝えたいこと

日本の学生の方々にお伝えしたいことは大きく3つあります。

 

①明確な目標を持とう!短期、中期、長期の目標を持つと、今、どういう行動をとらねばならないか自然と分かります。曖昧な目標しか持てなかったら、どう進んでいいのかよく分かりません。目標を明確にするために、人と会ってディスカッションすることも大事だと思います。

 

②失敗を恐れて挑戦しないことで、失うものがある!しかもそれは大きい!失敗は避けられたとしても、挑戦する機会も、プロセスや失敗から学ぶ機会も無くしてしまいます。成功することが全てではなくて、経験とそこからの学びが本当に大事です。

 

③あらゆることに人が関わっているので、人がとても重要ということを理解して欲しい!ITもテクノロジーも、人間に貢献して、いい影響を与えるために存在しています。まずは人を大切に。人とのつながりを大切に。

あしながさんは、社会に「正の連鎖反応」を生み出す人

学生の方へのメッセージ③とも関係しますが、あしながさんは人を大事に思い、「人に投資」して下さる方々です。自力では叶えられなかった進学の夢を支援していただいた…ということを発端に、社会に正の連鎖反応が生み出されます。支援を受けた学生が、自らも支援をする人になったり、社会に貢献する人になったりして、好循環をもたらすという意味です。あしながさんが、日本の学生、アフリカの学生たちを信頼して、「よい行い」の連鎖反応を信じて寄付してくださることに、心から感謝しています。

(インタビュー 田上菜奈)

 

 

投稿者

田上 菜奈

あしなが育英会では、会長室、アフリカ事業部100年構想を経て、現在は「お母さん相談室」という部署を担当。保護者からの相談の受付や心のケアプログラムの保護者チームの運営に携わっている。「保護者インタビューまなざし」も執筆している。

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