会長あいさつ
OUR PRESIDENT

村田 治
OSAMU MURATA
一般財団法人あしなが育英会 会長
若者に「心の安定」と「生きる力」を
あしなが育英会の奨学生は、親がいない、または親が障がいを有していることで、経済的貧困や心の不安を抱えています。
私自身も中学1年生のときに父親を交通事故で亡くし、その後1年は勉強が手につかず、大きく成績を落とした経験があります。何かを頑張るためには心の安定が必要です。本会では、経済的な支援のために奨学金を交付するだけでなく、子どもたちが安心して学べるよう様々な取り組みを行っております。
あしなが育英会は遺児等に奨学金を交付するだけの団体ではなく、教育団体と考えております。学校教育で養える学力はリテラシー(特定分野の知識の活用)中心ですが、社会に出たときに必要なのは、自己肯定感や向上心などのコンピテンシーといわれる能力・資質です。コンピテンシーは根源的な能力であり「生きる力」と言い換えることもできるでしょう。
生きる力の第一は温かい心。それはコミュニケーション能力の源です。心のケアや募金を通じて、遺児たちは自分たちを応援してくれる方々の温かい心に触れることができます。また、遺児の仲間との交流を通じて、自身の厳しい境遇が自分だけの問題ではなく社会問題であることに気づきます。これによって視野が広がり連帯が生まれ、自己肯定感を高めていきます。自分たちで街頭募金や「つどい」を企画・開催する行動力を身に付けていく姿を幾度となく私は目にしてきました。特に近年、アフリカ出身学生が参加していることで、日本人学生とアフリカ出身学生が国際的な関心を相互に身に付けています。
奨学生たちの生きる力を高め、社会に有為な若者を送り出すことがご寄付者の皆様への恩返しであり、社会全体への恩送りであることを信じ、これからも本会は一丸となってあしなが運動に邁進して参ります。
会長
村田 治