国内遺児の心のケア事業
EMOTIONAL CARE
子どもたちに寄り添い続ける
あしなが育英会では、1995年の阪神・淡路大震災で父と妹を亡くし自らも9時間生き埋めだった少年の描いた「黒い虹」に自分なりの七色の虹を架けていく手助けをとの想いから、1999年に神戸レインボーハウスを建設しました。2006年には東京にもレインボーハウスを建設し、全国の小中学生遺児へと対象を広げました。2011年の東日本大震災後には、宮城県仙台市、石巻市、岩手県陸前高田市に開設し、子どもたちの明日を応援し続けています。
レインボーハウス
レインボーハウスは、親というかけがえのない存在をなくした子どもたちの「あのね」を受け止め、交流し、自分らしくいられる安心安全な居場所です。子ども向けプログラムのほか、保護者同志が交流できる場や保護者向けプログラムもご用意しています。
子どもたちが抱いている様々な気持ちやエネルギーを表現できるよう、お互いの顔を見ながら語り、聴くことのできる「おしゃべりの部屋」、自分や相手を傷つけずに大きなエネルギーを表現できる「火山の部屋」など様々な部屋があります。また、ファシリテーターと呼ばれるボランティアの方々が子どもたちと一緒に遊び、子どもたちの話に耳を傾けてくれます。
レインボーハウスは学校や家とは異なる「非日常の空間」として位置付け、はじまり(自己紹介、お互いの存在を確認する時間)、まんなか(遊びたいこと、話したいことなどしたい事をする時間)、おわり(その日の感想などをシェアし、「またね」の時間)を大事にしたプログラムを開催しています。
私たちが大切にしていること
死別や喪失を経験すると、誰しもに「グリーフ」と呼ばれる感情・反応が現れることがあり、子どもたちも例外ではありません。グリーフは心理的、身体的、社会的な反応であり、身体反応としてあらわれたり対人関係や社会生活にも影響を与える場合もありますが、決して病気ではなく、ひとり一人固有のものです。私たちは、子どもたちひとり一人のグリーフを支えるため、子どもたちの身体の安全はもちろん、心の安心を感じてもらう環境を大切にしています。
また、ピア・シェア・エンパワメント・モデルという考え方に基づいた環境も大切にしています。ピアとは、同じような体験をした子どもが集まること。シェアとは、自分のグリーフを語り合い、聴きあうこと。エンパワメントとは、比較して優劣を判断するのではなく、お互いの気持ちや歩みを認め合い、支持しあうこと。モデルは、自分以外の表現やその方法、歩みを参考とする視点をもつことです。
これらの環境を保つためにレインボーハウスでは以下のルールがあります。 これらルールのもと、プログラムに参加する全ての人が「自分も大事、相手も大事」ということを共通の考えとして、プログラムを運営しています。
プログラムなどの詳細は、下記よりパンフレットをダウンロードしてご覧ください
プログラムに参加した遺児の声、保護者の声
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レインボーハウスに行き始めてから言いたいことも言えたし、同じ経験をした子もいてすごく安心しました。だから大人になったらレインボーハウスの人達に恩返しをしたいです。
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私は父に会いたいなと思うことがあります。今でもお父さんが帰ってきたら、一緒に遊べたのになあとか思います。こんな気持ちを伝えられるプログラムがあって、自分の気持ちを整えています。私にとってこのプログラムは本当の自分を出す事ができる唯一の場所です。
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子どものたくさんの笑顔を見れて良かったです。私自身も夫が亡くなってから一人で子育てして、頑張りすぎていたので、今回はゆっくりして、心をたくさん充電できました。
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初めての参加で、親子で孤立してしまったらどうしようと不安でしたが、自分でも信じられないほど溶け込めて、同じ立場って強いなと感じ、普段言えない事も沢山話せました。
全国に広がるレインボーハウス
プログラムに参加したい方はお近くのレインボーハウスへお問い合わせ下さい。
東京は全国を対象としています。
災害・緊急時での
子どもとの関わり方
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子どもが不安やストレスを
感じているとき -
困難な状況や不安を感じている時は普段とは違う反応をするかもしれません。危機や不安を感じる状況に悲しんだり、心配したり、困惑したり、恐ろしさや怒りを感じることは、ごく自然なことです。
例)・親や親しい大人にしがみつく・引きこもりがちになる・不安を感じる・怒りや動揺を感じる・気分が頻繁に変わる・おねしょをする など
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子どもの気持ちの表現方法と、
保護者ができるサポート -
子どもは、安心安全な環境の中で不安な気持ちを表現したり、やりとりしたりすることができれば安心することができます。どの子どもにも、その子なりの気持ちの表現方法があります。遊んだり、絵を描いたりといった創造的な活動を行うことで、気持ちが徐々に整理されることがあります。子どもが、怒り、恐れ、悲しみなどの不安な感情も表現できる方法を見つけることができるように手助けしましょう。保護者が一緒に参加してくれることもまた、子どもの手助けになります。
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子どもは困難な状況の時には
いつもより愛情を必要とする -
子どもの年齢に応じて、「そばにいるからね」「気にかけてるよ」と伝えたり、子どもが必要とする時にはスキンシップをしたりしてみましょう。そうすることで、子どもたちは気持ちが楽になり、安全だと感じるでしょう。
親をなくす経験をした子どもは、こうした非常時に「家族が死んでしまうのではないか、子どもだけの生活になるのではないか」と考えたり、身近な人の安否を心配する言葉を話したりするかもしれません。
子どもが気がかりに思っていることに耳を傾け、優しく話しかけ、安心させることはとても大切な関わりです。
活動紹介
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