杉野 皓己
Koki Sugino寄付課
入局のきっかけ
私は佐賀県の小さな都市で生まれ育ち、10歳の時に父を自死で亡くしました。私は5人兄弟の長男で、下の弟妹のことを懸念し、高校や大学には進学せず就職しようと考えたことが何度もありました。
しかし、あしなが育英会の奨学金のおかげで進学することができました。さらに、「あしなが」をきっかけに出会った仲間たちと将来の夢を共有できたこと、そして、私たちを応援してくれる人がたくさんいると知ったことで、真剣に自分の人生を頑張ってみようと思うようになりました。
大学時代には、あしなが大学奨学生が中心となって運営する学生団体「あしなが学生募金事務局」で九州のリーダーを務め、大学の垣根を超えて、同じ志を持った多くの仲間に出会えました。正直な話、自分でいうのも恥ずかしいほど、一人では何一つできないような出来の悪いリーダーでしたが、みんなに支えられて自分があると学ぶことができました。今でも彼らとはお互いの仕事の話をしたり、目標に向かって励まし合ったりしています。
また、大学3年生の時にはあしなが育英会の海外研修制度を利用し、大学を休学して、ウガンダ共和国で1年間を過ごしました。そこでは、多くの子どもたちが、明日食べるものも十分に得られない生活の中で、夢を追いかけながら毎日笑顔で過ごしている姿を目の当たりにしました。
ウガンダだけではなく、日本国内でも、多くの遺児家庭の仲間や後輩たちが、自分の生まれた環境に左右されまいと必死にもがいている姿を見てきました。
こうした経験から、遺児家庭の現状や彼らの想いを自分の胸だけに留め続けて後悔するのではなく、社会に伝え続けたい、その背中を見せられる大人でありたいという思いが募り、2019年に職員として入局しました。
仕事の内容・やりがい
目標とする“立派な背中を見せることができる大人”まではまだまだ程遠いですが、学びの多い毎日を過ごしています。
入局後は4年ほど、大学奨学生のための学生寮「あしなが心塾」で、生活面のサポートや進路相談、塾内行事の企画・運営に携わりました。思い返すと失敗の方が多く、むしろ、学生たちから学んだことのほうが多かったように思います。現場に立ち、精一杯、学生たちに体当たりで向きあう中で悩むことも多く、自分らしさを考える日々でした。
2023年7月から寄付課に配属され、ご支援者である「あしながさん」とお話をする貴重な機会をいただいています。
毎日、ご寄付者からお寄せいただくさまざまな声をどうしたら、ひとりでも多くの奨学生や子どもたちに伝えることができるだろうか、と考えを巡らせています。
寄付課の業務の一つが、あしながさんと奨学生・子どもたちを結ぶかけはしを作ることだと思っています。元奨学生であり、奨学生たちの日常を知っている私だからこそできる仕事を模索することが、当面の目標です。