遺児のお母さん作文集『星になったあなたへ』を発行しました
お母さんの真心の言葉をお読みください
あしなが育英会はこの度、遺児奨学生のお母さんによる作文集『星になったあなたへ』を発行しました。
亡き夫への想いを込めた手紙や、生活や子育てにまつわる体験談を、子どもたちのイラストと共にまとめています。
遺族が抱える複雑な感情、ひとり親としてのご苦労、ご自身が病気やうつと闘いながら生き抜いてこられた経験などが、まっすぐな言葉でつづられた世界に一つの作文集です。
☆ご希望の方に作文集『星になったあなたへ』を無料でお送りします
多くの方にお母さんたちの想いを知っていただけるよう、送料・冊子代含め、無料で進呈しています。
イベント等での配布や、授業・セミナー等でのご使用も大歓迎です。ぜひ下記よりお申し込みください。
〜掲載作文の一部をご紹介〜
「大嫌いで、大好き」
山形県 S・Hさん 42歳
誰よりも娘が生まれてきたことを喜んで、あまりにも病室に来るものだから「退院するまでもう来なくて大丈夫だよ」なんて言ったこともあったよね。
私が悩んでいるとき。落ちこんでいるとき。
「なんでも話してよ。もう夫婦なんだから」って優しく言ってくれて、「この人と結婚して本当によかった」って思えたよ。
なのに。
どうして自ら命を絶ってしまったの?
「つらいことがあったらなんでも話し合おうね」って言ったのはあなただよ。
娘から「パパ」って呼ばれること、すごく楽しみにしてたよね?
あなたがいなくなって15年。
よく、時間が解決してくれると言うけれど、時が解決してくれるような人間なんて誰もいないよ。
あなたと行った全ての場所が嫌いだよ。
あなたと見た全ての景色が嫌いだよ。
もう戻ってこられないのなら、そんなに私の心をかき乱さないでほしい。
もしも。一言だけ、あなたに伝えることができるとするのなら。
「ずっと大好きだよ」って伝えたい。
「世界一の親友のあなた」
山口県 W・Yさん 51歳
出会って3カ月で結婚したのは30年前。亡くなったのはほんの一瞬。3年たっても信じられない。長期出張しているみたいです。言葉は飾らないけど優しくて、ナルシストでしたね。
40歳まで専業主婦だったけど、通信制大学で学ぶことを応援してくれた。非常勤の教職員になってからは、一緒に授業のことを考えてくれたし、いろんな問題を一緒に悩んでくれた。文化祭も来てくれて、やんちゃな生徒とも遊んでくれた。言葉には出さないけど、エールを送ってくれていたんだね。
もともとはあなたが子ども好きで、私はそうでもなかった。仕事を辞めたいと悩んだ時も、反対してくれた。おかげで今はフルタイムの教職員ができています。臨時雇用だからいつも新人扱いだけど、授業内容は負けてないよ。
亡くなる7年前くらいから、バトミントンを一緒にしてたよね。凝り性のあなたはガットマシンまで買ってね。私はあまり上達しなかった。
あれから、バドミントンはできないけど、この前、職場の卓球大会に出たんだよ。大汗かいてあの頃を思い出した。いつかまた、バドミントンしたいな。その時は一緒にしようね。
あなたはいつも私の胸の中にいる。いつも応援して、いつも心配して、いつも信じてくれている。
世界一の親友のあなた。また、会おうね。また会えるよね。
あしなが育英会が支援する家庭の状況
あしなが育英会は、病気、災害、自死などで親を亡くした子どもや、親が障がいのために十分に働けない家庭の子どもたちを奨学金と心のケアで支えています。
2021年秋に高校奨学生の保護者3,994人を対象に行ったアンケート調査では、「回答者の平均月収10万6,485円」「5人に1人がコロナ禍が原因で転職・離職」など、遺児家庭の困窮がますます進んでいることが明らかになりました。
自由記述欄には、「弱者は生きていてはダメなんでしょうか」「毎日、もうおわりだと感じます」などの悲痛な声も書かれていました。
経済的にも精神的にもつらい状況にある子どもと保護者に寄り添い、必要な支援を届けるために、私たちはこれからも活動を続けます。どうか応援していただけますと幸いです。
あなたを支える場があります
大切な人との死別を経験すると、「グリーフ(愛惜・悲嘆)」と呼ばれる感情・反応が生じることがあります。
あしなが育英会の心のケア活動の拠点・レインボーハウスでは、子どもたちと保護者の方のグリーフに寄り添うため、安全・安心を感じてもらえる環境をつくり、定期的にさまざまなプログラムを行っています。
プログラムに参加してみたい方やレインボーハウスの活動についてお知りになりたい方は、以下のフォームよりお気軽にご連絡ください。
ご支援を考えてくださる方へ
あしなが育英会では、遺児たちをそっと支えてくださるご寄付者の方々を「あしながさん」とお呼びしています。
皆様からいただいたご寄付は、奨学金や心のケア、奨学生のための学生寮や教育プログラムの運営などのため、大切に使わせていただいております。
ご寄付は以下のフォームより、1回500円からお送りいただけます。
子どもたちの未来を切り開くために、どうかあしながさんになってくださいませんか。