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【高校生インタビュー】つどいは私に勇気をくれる場所|島の末っ子が描く未来

あしなが育英会が最も力を入れる行事である、高校奨学生のつどい。この夏は全国7会場で開催し、あわせて578人の高校生が参加してくれました。
そのなかの一人、中四国のつどい(愛媛県大洲市)に参加した岡山県の高校2年生、アンさんに話を聞きました。

島の末っ子、つどいへ

瀬戸内海に浮かぶ真鍋島。本土から船でおよそ1時間の、100人ほどが暮らすのどかな島から、この夏アンさんは2度目の「中四国のつどい」にやってきました。

アンさんは島の最年少。映画「瀬戸内少年野球団」(1984年)のロケ地にもなった出身中学校は、アンさんの卒業を見届けて廃校となりました。毎朝6時半の船で本土の高校へ向かい、17時47分発の最終便で帰ってきます。4人の兄は就職や進学で島を出ており、今は母と2人で暮らしています。

「私はこの島の末っ子なんです。どんなに通学が大変でも、生まれ育った真鍋島と、島の人たちが大好きです」とアンさんは話す


廃校となった母校で、思い出のブランコに乗るアンさん



「つどいは私に勇気をくれる、特別な場所です」と、アンさんは話します。
初参加だった去年のつどいでは、班のメンバーのライフストーリーを聞き、つらい経験を持ちながらも、夢に向かって頑張っている奨学生の仲間がいることを知りました。そして、「みんな頑張っているんだな。自分もまだ頑張れるな」と勇気づけられました。

一方で、自身の話をすることはできませんでした。つどいを通してこれまでの自分を振り返るなかで、点と点がつながりました。

「私は本音を話せないんだ」

舵を握る父の背中

小学5年生の時、母から「お父さんが膵臓がんになった」と告げられました。島と本土を結ぶ船の船長をしていた父・治さん。5人兄妹で唯一の娘だったアンさんには、とくに甘かったといいます。学校が休みの日には、よくアンさんを操舵席の隣に座らせてくれていました。「舵を握る大きな背中がかっこよく、大好きでした」と、在りし日を思い出します。

浩さんは次第に痩せ細っていき、10カ月後に息を引き取りました。入院していた本土の病院から連絡を受け、海上タクシーで病院へ駆けつけましたが、最期には間に合わなかったといいます。

葬儀を終えて登校すると、周りの表情を見て、父親のことに触れていいのか迷っていることを察しました。狭い島です。みんな父のことを知っています。「気をつかってくれているんだ」と受け止め、自分からも話すことはありませんでした。心にふたをし、以来、本音を話すことができなくなりました。

父との思い出がのこる、島の港で

つどいで見つけた夢

つどいの仲間は、そんなアンさんの気持ちに、正面から向き合ってくれました。関わり合いのなかで、少しずつ心のひもがほどけていきました。そして、班の大学生リーダーや仲間が夢を語る姿に刺激を受け、自分の未来も考えるようになりました。

「保育士になりたい」
島の保育所に通っていたころに抱いた憧れを思い出しました。

「自分と同じように、本音を言うことができない子どもに寄り添い、力になりたい」
アンさんがそう言葉を紡ぐと、仲間たちはうなずきながら聞いてくれました。

 

子どもの時に通っていた保育所の前で
閉園して久しいという

今度は自分が勇気を与えたい

それから1年が経ち、今年のつどいは、「今度は自分が、誰かに勇気を与えたい」と思い、参加を決めました。

今年のつどいで、アンさんの班のシニアリーダーを務めたミツハルさん(大4)は、「アンさんは、班の中で自然に人と人をつなぎ、周りを気遣う存在でした」と話します。さらに、「きれいなことを言うだけでなく、自分の不安や弱い部分をさらけ出しながら、夢を話してくれました」と振り返りました。

アンさんが本音を話したことで、班の仲間も心を開いてくれました。

 

 

2度目のつどいで、自らの歩みと夢を語るアンさん

 


「実は今年のつどいに来る前は、保育士になるっていう夢を諦めかけていたんです」

アンさんは1年前のつどいの後、いろいろな人に保育士になる夢を話しました。応援してもらえると思っていましたが、実際には「大変だからやめたほうがいい」と言われることが何度もありました。
「もっと収入が高く安定した仕事があるのでは」「大学の学費も高いし」と、諦める理由ばかりを考えるようになっていました。

しかし今年のつどいに参加し、仲間と夢を語り合うなかで、再び視界が開けました。
特に大きかったのは、幼稚園教諭を目指している、班の大学生リーダーの言葉でした。「私も幼稚園の先生になるって夢、否定されたことあるよ。でもさ、実際になってみないと、正解かどうかなんてわからないからさ」
この言葉は、そのままアンさん自身の決意になりました。

「やっぱりつどいは、勇気をもらえる場所でした」

 

今年のつどいで、4日間を共に過ごした班の仲間たち
いまでもSNSで連絡を取り合う



◇◇◇


夜が明け、始発便が港に着きました。アンさんは制服をまとい、タラップを渡ります。
今の目標は、大学に進学し、保育士資格と幼稚園教諭免許を取得すること。描いた夢に向かって、今日もアンさんの一日が始まりました 。

「いってきます!」



真鍋島と本土を結ぶ船から

 

こちらの記事もご覧ください

アンさんと大学生スタッフ、本会職員がつどいを振り返ったクロストークを紹介しています。あわせてぜひお読みください。

 



高校生×大学生×職員が語るつどいの4日間

 

投稿者

島田 北斗

2016年に新卒で入局。海外担当を振り出しに神戸の学生寮勤務、学生募金担当などを経て、現在は広報渉外課でメディアリレーションとオウンドメディア取材を担当。中四国エリア担当(教育事業)も兼務。高校、大学とあしなが奨学金を受けて進学した卒業生でもあります。

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