「参加して気持ちがポジティブになった!」高校生のための進学&留学体験イベントを開催
あしなが育英会では2025年1月11日(土)から13日(月・祝)にかけて、九州・沖縄地区と東北地区の高校奨学生30人(1~2年生)を東京に招待し、2泊3日の特別イベント「進学体験×まちなか留学」を開催しました。
本会独自の「進学体験」プログラムと、一般社団法人HelloWorld(*1)が提供する「まちなか留学(*2)」プログラムを組み合わせたもので、普段、地元からあまり出る機会がない地方の高校生に、視野を広げ、進路を考える機会をもってもらうことがねらいです。
本記事では、参加者のようすや感想をご紹介します。
(*1、*2はページ下部をご覧ください)
親元を離れ進学するリアルなイメージをつかむ-「進学体験」
「進学体験」は、高校奨学生たちに、「地元を離れて大学に進学する具体的なイメージ」を持ってもらう目的で企画されました。参加者たちはこの日、東京都日野市にある本会学生寮「あしなが心塾」に宿泊し、グループに分かれて都内にある8つの大学を見学したり、学生寮で暮らす大学奨学生たちとの交流を楽しんだりして、充実した時間を過ごしました。
大学見学では、各グループに大学生ボランティア(あしなが大学奨学生など)が付き、校内を案内しました。数百人が入る大講義室、広くて明るいカフェテリア、膨大な蔵書が並ぶ図書館など、初めて見る大学のキャンパスに、高校生たちの目はキラキラ輝いていました。大学生から、実際に学んでいることや、サークル、アルバイトなどの話を聞く機会もあり、進学後の自分を具体的にイメージするきっかけになったようです。
東京科学大学(東京都文京区)を訪問したグループ
見学後は、初日の宿泊先でもある「あしなが心塾」へ移動し、心塾についての説明をうけたり、寮内を見学したりしました。その後、大学生ボランティアによる「大学生ブース」も登場。大学で学んでいることや心塾での生活、今の進路を選んだ理由など、先輩の体験談をたくさん聞くことができました。
高校1年生、2年生の参加者たちにとって、「卒業」も「進学」も、少し先の未来です。しかし、学生生活はあっという間。早いうちに大学進学の具体的なイメージをもつことは、自分らしい進路を描いていく力になります。
首都圏の進学を希望する学生にとって、「心塾」は選択の幅を広げる後押しをします
大学生から体験談や進路選択のヒントをもらえる「大学生ブース」が登場
参加者の声(進学体験)
自分の将来を深く考える機会になった
大学進学に向けて自分がなにをすべきか明確になったので良かったです。自分は大学でなにをしたいのか、将来、何になりたいのか、自分を見つめ直すいい機会になったと思います。(週末ではなく)長期休みの時に長く時間をとり、もっと真剣に(自分の考えを整理して)話す機会があれば、さらにいい経験になるかなと思いました。参加して良かったです。
(高校2年生・女子)
実際に来てみて、わかることがたくさんあった
このプログラムに参加して、資料だけではわからなかったことを知ることができました。大学訪問では、実際に東京の大学に足を踏み入れ、その大学の雰囲気を感じるという、とても貴重な体験をすることが出来ました。心塾では、塾生の楽しそうな表情や美味しい食事など、実際に来てみて、わかることがたくさんあったので良かったです。大学生の話を聞くこともできて、自分の将来についてよく考えることが出来ました。
(高校1年生・女子)
海外留学ってどんな感じ?ホームステイで疑似体験-「まちなか留学」
2日目と3日目のプログラムは、「まちなか留学」です。これは、HelloWorld株式会社が運営する、国内で暮らす外国人家庭でのホームステイ体験プログラムで、本会では2年前から、遺児奨学生を対象に不定期で開催しています。今回は、三菱UFJフィナンシャル・グループの後援により、九州や東北の高校生たちを東京に招待し、特別な体験機会を提供することができました。
今回迎えてくれるホストファミリーの国籍は、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、インド、ブラジルなど多種多様。ステイ先でのコミュニケーションは英語オンリーで、海外留学のような環境が用意されています。
プログラムの最初は「ウェルカムセレモニー」(開会式)で、これから1日を過ごすホストファミリーと対面しました。その後、高校生30人は2~4人ずつ12グループに分かれて、各家庭に移動していきました。各家庭では、ホストファミリーと一緒に料理をしたり、ボードゲームを楽しんだり、お互いの国の文化や生活について語り合ったり、普段の生活では体験できない時間を過ごしました。初めて東京に来たという高校生のために、東京観光に連れていってくれたホストファミリーも。
テーブルサッカーゲームで仲を深めます。ついつい真剣な表情に
有名な雷門(浅草)の前でパチリ
小さな子どもたちとたくさん遊びました
ステイ中は英語オンリーの環境ながら、参加者たちは積極的にコミュニケーションを取っていました。文化の違いを肌で感じ、英語だけで意思疎通をはかる体験を通じて、たくさんのことを学んだようです。
最終日は、ランチタイムまで家族と過ごしたあと、あしなが育英会本部事務所に集合して「フェアウェルセレモニー」(お別れ会)をおこないました。12グループが順番に、ステイ中に撮った写真を他のグループにエピソードとともに発表したり、参加者たちがホストファミリーに宛てたサプライズレターを朗読したりして、会場は楽しそうな声と笑顔に包まれました。
お別れのハグをしているときの高校生たちの表情は、とても明るい笑顔でした。宿泊前の不安そうな顔が嘘のようです。たった1泊のホームステイ体験ながら、参加者一人ひとりに、大きな自信と新たな目標を与えてくれた時間になりました。
参加者の声(まちなか留学)
ホームステイ体験で前よりポジティブに
ホストファミリーが、「みんなを受け入れてるのは、若い子たちに、もっと視野が広げられるよう英語を身に着けてほしいから」と教えてくれて、その情熱に心を動かされました。この体験をする前よりも、自分の自主性や気持ちの明るさ、ポジティブさが上がって、「自分は何でもできる!失敗しても大丈夫!」と思えるようになりました。英語力がまだ足りないと感じるので、もっと英語の勉強や、海外の人と関わることに積極的になりたいです。またどこかで会えたらうれしいです! そして、その時はall Englishで話したいな!
(高校1年生・女子)
全国の子どもたちに体験してほしい
一緒にカードゲームをしたことが楽しかったです。知らないゲームだったけど、説明してもらって遊びました。英語だけの説明でも理解する事ができて、自分の英語の上達を感じました。丸一日英語を話すという経験は今までになかったので不安でしたが、しっかり身についているのを実感して、自信がつきました。新たな文化に触れることも楽しかったです。今回このような機会をいただけて、本当に感謝しています。全国の子どもたちが経験できるようになってほしいなと思いました。
(高校1年生・男子)
憧れだった「留学」をちょっとだけ体験できた
以前から、海外の文化や生活、英語でのコミュニケーションには強い関心と憧れを抱いていましたが、学校で紹介されるプログラムは高額な留学費用が必要で、参加することができませんでした。だから、「まちなか留学」の参加が決定した時は、初めてのホームステイ体験の喜びと少しの緊張が入り混じり、とてもうれしい気持ちでいっぱいでした。ホームステイでは1日とは思えないほど多くのことを学び、海外の文化や生活に触れることができました。また、会話を通して英語で話すことの楽しさや学ぶ意義を体感し、ホストファミリーと過ごした時間はかけがえのない思い出になりました。
(高校2年生・女子)
*1 一般社団法人HelloWorld
非営利の一般社団法人である一般社団法人HelloWorldは、多様性を社会に実装するインフラを作ることを目的に、生活困窮世帯への国際交流体験の提供や、国際交流が子供たちに与えるインパクト等の調査研究を実施しています。「世界中に1ヶ国ずつ友達がいることが当たり前の社会をつくる」をミッションとするインパクトスタートアップであるHelloWorld株式会社と連携しながら、質の高い英語学習や国際交流体験の機会提供を通じて、子どもたちの視野を広げ、多様性に対する受容力の育成を目指します。
参照:一般社団法人HelloWorld公式ウェブサイト (外部リンクが開きます)
*2 まちなか留学
東京または沖縄に住む外国人のお家でのホームステイを体験するプログラムです。留学となるとハードルが上がりますが、週末に国内で気軽に留学体験ができます。これまでに80か国以上のホストファミリーが参加しており、英語はもちろん、多様な異文化体験ができることが特色です。英語ができなくても、まずは「英語を使ってなにかやってみる!」に挑戦することで、子どもたちの英語への関心を高め、好奇心を育むことを目指しています
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あとがき
地方の高校奨学生を東京に招待し、進学体験と留学体験をしてもらうという今回の企画は、本会にとって初めての試みでした。高校生たちがこの体験を楽しみ、多くのことを吸収しただけでなく、近い未来の「進学」について前向きに考えるきっかけとしてくれたことが、何よりの成果です。今後も、多くの高校生にさまざまな機会を届けられるよう尽力していきます。今回の企画の実現にご協力くださいました一般社団法人HelloWorld、そして三菱UFJフィナンシャル・グループに感謝申し上げます。