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多くの支えで実現する募金活動―25年秋募金で福岡拠点を取材しました

「あしなが学生募金」は、親を亡くした子どもたちや、親に障がいがあり経済的に困難な家庭の子どもたちの進学を支えるために、学生が主体となって取り組んでいる活動です。この秋は、全国およそ140か所で「第110回あしなが学生募金」が行われました。街頭に立つ学生たちは、どのような気持ちで一日に臨んだのでしょうか。福岡での様子を取材しました。

募金活動の裏側

秋晴れの朝11時過ぎ、強い日差しが降り注ぐなか、博多駅の博多口と筑紫口の両方に、「あしなが学生募金事務局」のメンバーが集まっていました。福岡ブロックのまとめ役を務めていたのは、大学2年生の和田さんです。今日の募金活動を成功させるため、活動拠点の状況を確認しながら、最終的な調整を行います。

「事前に道路使用許可は取ってありますが、予定していた場所で他の活動があったため、少し難しい状況です」と、和田さんは困った表情を浮かべます。この日はデモ活動が重なり、急遽、全員の配置場所を変更することになりました。

今日の博多駅での募金活動には、募金事務局の局員4人、大学奨学生7人、ボランティアの大学生2人と高校生6人が参加しています。奨学生や高校生の中には、今回が初めての募金活動という人も。局員たちは軽い冗談を交わしながら緊張感を和らげ、参加する皆の気持ちが前向きになるように雰囲気づくりをしていました。

準備が整うと、参加者たちは「あしなが学生募金」と書かれたたすきを斜めにかけ、募金箱やチラシ、旗などを手に持って一列に並びます。これから始まるという緊張感と期待が、その場に広がっていました。

 

筑紫口の前で道行く人々に募金活動をPRする

筑紫口の前で道行く人々に募金活動をPRする(博多駅筑紫口)

 

「ご通行中のみなさま、私たちはあしなが学生募金です。本日12時から18時まで、ここで募金活動を行います。国内の病気や災害、自死で親を亡くした子どもたちや、親が障がいで働くことが難しい家庭の子どもたちの奨学金、またサブサハラ・アフリカの遺児への高等教育支援のため、募金をお願いしています」

このアナウンスを合図に、募金活動が始まりました。一人ひとりが自分なりの勇気を持って、順番に声を出して道行く人々に呼びかけていきます。

しばらくすると、通行人のなかから、足を止めて寄付してくださる方が現れ始めました。素早く募金をして立ち去る方もいれば、「少しだけでごめんね」や「大変だね、頑張ってね」と優しい言葉をかけていく方も。

「募金していただいたとき、『頑張ってね』と声をかけてもらったときは、本当にありがたいと感じます。応援してくれる人がいると実感し、『自分ももっと頑張らなきゃ』と気合も入ります。それに、自分がもし募金する側だったら、足を止め、財布を取り出して寄付できるだろうか…と思うんです。本当にありがたいことです」
こう語るのは、リーダーの和田さんです。募金してくださった一人ひとりの方に、心を込めてお礼を伝えるよう心がけているそうです。

 

募金してくださった方には一人ひとりお礼を伝える

募金してくださった方には一人ひとりお礼を伝える(博多駅筑紫口)

何か月もかけて、ようやく迎えた当日

募金活動は、当日駅に集まればできるものではありません。あしなが学生募金の場合も、何か月も前から準備を重ねて、ようやく実現できています。 
 
まずは、活動を担う事務局員を募集・育成し、拠点となる駅を決めて各駅での道路使用許可を取得。さらに、学校や企業などで説明会を開きボランティアを募ります。各地の新聞社などを自分たちで回り、取材を受けることもあります。一つひとつが、当日の募金活動を実現させるために欠かせない手順です。学生募金事務局の局員たちは、勉強の合間を縫って、着実に準備に取り組んできました。 
 
活動当日の運営も、一筋縄ではいきません。当日、体調不良などで欠席者が出たり、トラブルが起きたりすることもあります。また、他のイベントやデモ、車や工事による騒音などで、自分たちの呼びかけが届きにくいこともあります。その回、その日の状況に応じて、どこに立てば、どんな呼びかけをすれば自分たちの話を聞いてもらえるかを考え立ち回る戦略的思考も必要です。 
 
「いろいろなトラブルに遭遇することもあります。だけど、局員たちの協力で解決してきました。それに、あしながさんが応援してくださるからこそ、今回も乗り越えることができました。多くの人の支えがあってやっと募金活動を行うことができるのだと、今回も実感しています」 

 

実際に奨学金を受けて学んでいる大学生として想いを伝える

実際に奨学金で進学し学んでいる大学生としての想いを伝える(博多駅博多口)

活動に注ぐ情熱のもとは?

募金活動を成功させるため、情熱を注ぐ学生たち。何が彼らをそれほどまでに突き動かすのでしょうか。

「私は父を亡くし、高校も大学も、あしなが奨学金を受けて通えています。一方で、支援を得られない遺児たちもいます。私はそのような子どもを一人でも減らしたいと思っています」と話すのは、西鉄久留米駅を担当していた木村さん。

 

局員の多くは、木村さんのように、遺児家庭や親の障がいなどで経済的に厳しい状況にあり、あしなが奨学生となった大学生たちです。自分自身も、経済的な悩みや孤立感、進路への不安などを抱えてきたからこそ、同じ状況にいる子どもたちを救いたいという強い思いを持ちながら活動しています。

他人事ではないからこそ、街頭で呼びかける際に、自分の体験や今感じている気持ち、一番伝えたいことを自分の言葉で訴えることもあります。知らない人たちに自分の体験や思いを語るのはとても勇気がいることですが、届けたい思いがあるからこそ、言葉に熱がこもります。


一方で、奨学生でなくても、活動に共感して遺児と同じ思いで一緒に取り組んでいる学生もいます。博多駅で活動していた小川さんは、そんなボランティア学生の一人です。「大勢の人が行き交う博多駅で、堂々と呼びかけていた先輩の姿に感動し勇気をもらって、私も局員になりました」と、参加のきっかけを話してくれました。

「今回、私も勇気を出して大声で頑張りました。自分が呼びかけたときに募金をしてもらえると、自分の声が届いたと感じてとても達成感がありました。遺児家庭のことに興味を持ってもらえているんだ、伝わっているんだ、と感じて、本当にうれしいです」

 

道行く人たちに大声で呼びかける

道行く人たちに大声で呼びかける(西鉄久留米駅)

幼い子から年配の方まで、いろいろな方の支えで今がある

あしなが学生募金の目的は、遺児の進学を支えるためのご寄付を募ることですが、それ以外の側面もあります。秋募金最終日の活動を終えた局員とボランティアに感想を聞きました。

 

局員大学生

 

募金活動をするなかで、私たちをちゃんと応援してくれている人がいると実感できました。そして、その気持ちに応えられるよう、私自身ちゃんとしよう、と背中を押された気持ちになりました。(大学2年生・木村さん)

 

春にも同じ場所で募金活動をしていたのですが、近くで音楽イベントをされていた方がそのことを覚えていてくださり、声をかけていただきました。イベントのなかでも少し募金の呼びかけをさせてもらえて、とてもうれしかったです。募金活動を通じて、普段の自分なら出会えないような方と関われることや、社会人の方とお話できることなどは、自分の自信にもなっており、活動をしていてよかったなと思えます。(大学4年生・塚本さん)

 

先輩が堂々と大声で呼びかけをしている姿を見て勇気をもらったので、局員になりました。今回、初めて拠点責任者をしたので不安でしたが、局員の先輩たちがサポートしてくれて無事にやり遂げられました。(大学3年生・小川さん)

 

仲間たちがいるからこそ、4拠点での募金活動ができました。無事に終わってよかったです。私は、募金活動に参加する前、あしながさんというのはご年配の方々が多いのかなと想像していたのですが、街頭募金を通じて、小さいお子さんからご年配の方までいろいろな方に支えていただいているんだなと実感しています。

あしながさんがいなければ、私は大学に行くことができなかったですし、学生募金もできないですし、言葉に表せないほど感謝しています。自分がもし募金に協力する側だったらと想像すると、大声を出して活動している人に近づいて寄付するのはとても勇気がいることだろうなと思います。しかも見ず知らずの人間、ましてや日本人だけとは限らないので、募金をしていただけるというのは本当にありがたいことだと感じています。ご支援くださっている方の気持ちに応えられるよう頑張ります!(大学2年生・和田さん)


ボランティア高校生

最初は緊張しましたが、慣れてきたら、注目してもらえたり募金してもらえたりすると嬉しくなりました。参加できてよかったです。

 

これまでは、募金活動を見かけても通り過ぎるだけだったのですが、今回、募金を呼び掛ける側に立ってみて、「頑張っている人たちがたくさんいるんだ」、「募金ってこんなに大切なんだ」、「心の温かい思いやりのある方が世の中にはたくさんいる」と気づきました。今後は、私も募金に協力したいなと思います。

 

今まで募金活動を見かけても素通りしてしまっていて、話すら聞いていなかったのですが、足を止めてお財布をあけて募金してくれるということがこんなにうれしいことだと知りました。これからは私もちゃんと話を聞こうと思いました。

 

◇◇◇

 

奨学生でもある局員たちは、募金活動を通じて、協働、連帯、責任感や達成感、自信、そして応援してくれる人の存在による励ましなど、多くのものを受け取っていました。ボランティア高校生たちも、日ごろ学校の勉強では得られないような社会との関わりを経験し、視野を広げたようでした。
秋の募金を応援してくださったみなさま、ネット経由などでご寄付くださったみなさまの多くの支えに、心より感謝申し上げます。

投稿者

林 若可奈

大学進学後、両親の離別により経済的困難を経験。当時の体験より、「自分の力ではどうにもできない環境や境遇にある青少年が、多様な可能性にアクセスできる社会をつくりたい」との思いを抱き、青少年支援の道へ。2016年に入局し、会長秘書、インターンコーディネーター、マーケティング部、寄付課、ウェブ担当などを経て、現在はデジタル広報を担当。ウェブ記事やSNSを通じて遺児家庭と社会とをつなぐことを目指し、日々奮闘している。

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