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「成人式は僕にとっての分岐点」

1月11日は成人の日。

「子ども」の自分と「大人になる」自分を、自分自身で意識的に区切るという特別な機会。それまでの人生をふりかえり、これからの未来を想像してみる日でもあります。

 

普段なら、昔馴染みの仲間たちや子どもの頃にお世話になった恩師と久しぶりに集まり、お互いの変化を目で見ながら語り合うことができますが、今年は多くの自治体でオンライン化や延期が決定され、がっかりしている人も多いかもしれません。

しかし成人式の開催可否にかかわらず、今年成人を迎える奨学生のみなさんには、人生に一度しかないこの機会を、自分自身のための大切な時間として捉えてほしいと思います。

 

そのためのヒントをくれるのは、昨年成人を迎え、コロナによる様々な困難にも負けず、より一層精力的にさまざまなチャレンジに取り組んでいる大学奨学生の西本泰河さん(日本福祉大学3年生)。

今回、自身の1年間を振り返りながら「成人の日」をテーマにお話をしてくれました。
(以下、イ:インタビューをした職員  西:西本さん)

 

イ:今日のテーマは「成人」ということなんですが、さっそくですが、西本さんのときは成人式は開催されましたか?

西:僕は、2020年1月に成人しました。ギリギリ、コロナ禍が始まる直前だったので、成人式はありました。地元は兵庫県なんですが、久々に帰るのがもうめちゃくちゃ楽しみで。普段は大学のある愛知にいますし、帰るのにはお金も時間もかかるので、なかなか帰れません。だから、成人式の時に地元の友達と会えて、懐かしい雰囲気でとても楽しかったです。みんな、僕が帰るのを待っててくれて。嬉しかった。

 

イ:そうなんですね~。遠いと実家に帰ることを躊躇ってしまいますよね。西本さんは、成人することに対しては、何か特別な思いとかありましたか?あるいは、自然なこと、普通なこと、と捉えていましたか?

西:さっき言ったとおり、もともと「楽しみ!」という感情だったので、地元に戻って小学校とか中学校とかの友達に会えるのが成人式、というイメージしかなかったですね。そういう意味ではみんなが体験する「普通のこと」だと思っていました。

特別な機会だったと思えたのは、成人式に出た後ですね。成人式って、僕にとっては大学2年生の終わりごろなんです。でも地元の友達には、高卒で働いている人もいれば、短大卒業で社会人になろうという人もいる。中にはもう子育てをしている人もいて、見た目の変化もあって。

これから大学3年生になろうという自分にとっては、これからのことを考える時期でもあったので、そんな時期にある成人式ってすごく大事なタイミングなんだと思いました。地元の友人たちの色々な変化を目の当たりにして、みんな大人になったんだなと改めて思いました。

 

イ:なるほど。自分と周りの違いを認識して考える機会になったんですね。ちなみに、地元で過ごしていた頃、たとえば10歳の頃の西本さんはどんな子どもだったんですか?

西:父が生きていたときは裕福な生活をしていたので、いろんな習い事をしていました。ピアノと野球に打ち込んでいて。ピアノはコンクールで受賞したり、野球も選手になったり、夢中でしたね。

それに塾、ダンス、英会話は中1で英検準2級を取ったし・・・、スポーツも他の活動も全力投球でやってて、しかも何でもできてました(笑)

とはいえ、最初はどれもやらされてる感からはじまってて、やってみて達成感を感じられたら楽しんでやるようになる、っていうのが定番だったんですけど。がむしゃらに何にでもチャレンジして、全部が楽しかったです。

 

イ:活発な子どもだったんですね!その頃は、どんな大人になりたいと思っていましたか?そういうことを考えたことはありましたか?

西:そのころの将来の夢はプロ野球選手でした。野球が楽しくて仕方なかったんです。兵庫県なのでタイガースもあるし甲子園も近いし。でも実は、父親には「野球選手」と言いながら、母親には「ピアニスト」と伝えていて。母親はピアノを推していたので、子ども心に気を遣ったんだと思います(笑)

でも、「大人になる=働く」って思っていたと思いますね。うちは自営業だったので、父親がいつもすごく働いているのを見ていて、「働くのは大変だな」というイメージを持ってました。小学校で「職業体験」があったんですけど、見学をしたときに「自分は、淡々と仕事をするのは向いてなさそう。自分の実力で何かできる仕事をしたい」って思ったことを覚えています。たぶん父親を見ていたからだと思いますね。

 

イ:お父さんの影響が大きいんですね。今、21歳になってみて、どうですか?なにか「成人した」ことへの実感とか、自分自身の変化とか、感じることはありますか?

西:成長とか変化という意味では、二つ、感じていることがあります。

ひとつは、「夢をみること」あるいは「夢を持つこと」の大切さを改めて感じています。もうすぐ大学3年生が終わるので、大学生活があと1年しかないんです。

この時期ってよく周りの方々から、「悔いのないように」とか「大人になると責任が伴うからね」など言われるんですよね。実際に、成人式で同い年の人たちが一堂に会したことで、「同い年でも全く違う生き方がある」という事実を改めて見せつけられました。大学生にとって、色々な生き方をしている同い年の人たちに出会う機会ってそんなにないので、学生生活のなかでそのことに気づくラストチャンスだったと思うんです。僕にとって、成人式は分岐点だったと思います。これからどう生きていくか、どう生きていきたいか、改めて考えるようになりました。

もう一つは、「感謝」や「ありがとう」を言語化すること、感じることが増えてきたということです。子どもの頃はわりと裕福で好きな事は何でも出来ていたのに、父親が亡くなってから生活の変化が大きくて。父親の不在や、変化した生活に慣れていくこと、それ自体がつらくてしんどかったんです。それで、中学2年生の頃なんかは、一匹狼みたいな時もあって、非行に走ったりやさぐれたりもしました。だから、今ここまで大人になって、ひとり暮らしして「大学生」をやれていること自体がすごいなと思いますね。成長したなと。

当時迷惑をたくさんかけた先生たちに成人式で久々に会ったんですが、今何してるのかと聞かれて、大学生で福祉の勉強をしている、と言ったら泣いていました(笑)

僕は、これまでの人生ですでに色々なことがありました。その中で、たくさんの人たちが支えてくれたから今の自分がいるんだと実感できるようになりました。過去を振り返って「ありがとう」と素直に思えるんです。過去を振り返る機会はこれまでそんなになかったから、成人式は本当に良い機会だったと思っています。

そう思えるようになったのは、あしながの活動に取り組むようになったからでもあります。その中で、多くの人たちと出会い、色々なことに挑戦する機会を得られたので、やりたいことが広がって、昔の自分のように色々なことにチャレンジできるようになりました。
そういう意味でも、成人式は色んな人の考えを経験できる機会、夢を言葉にして頑張っていくきっかけになりましたね。

 

高校訪問であしなが学生募金の活動紹介をしている様子。

 

イ:話を聴く限り、自分ではとても成長を実感しているようですが、ご家族からは西本さんの変化について何か言われますか?

西:興味関心が広がって、好奇心旺盛になり、チャレンジすることが増えた点は、大人になったねと言われますね。子どもの頃は、基本的にピアノと野球しか眼中になかったんですけど、今は大学の勉強だけでなく、あしなが学生募金の活動で責任ある役割を引き受けたりしていることもあって、色々な分野の本を読んだりセミナーに行ったり、すごく勉強するようになりましたし、成長していると自分でも思います。

一方で、「昔から本当に前に立つのが好きだよね」って母親からは言われますね。部活のキャプテン、委員長、生徒会長とか色々やってきましたし、今は学生募金の活動などでメディアに出ることもあるので、「目立つのが好きだね!」「先頭を走りたがるね!」とよく言われます。

母親からは「あまり目立つことをされるとちょっと恥ずかしい」とも言われるんですけど・・・でも本当は喜んでると思ってるんで(笑)
 

夏の「つどい」では、プログラムを企画・運営するリーダーを務めた。

東海地域のエリアマネージャーとして、あしなが学生募金のメンバーを牽引している。

 

イ:子どもの頃のがむしゃら感が良い方に成長して、様々なチャレンジをする力になってきたんですね。きっとお母さん、本当に少し恥ずかしいと思いつつ、とっても嬉しく思っていると思いますよ!差し支えなければ聴きたいのですが、亡くされたお父さんに対して憧れるところとか、大人になってみて「こういうところがお父さんと似てる」と思うところなどはありますか?

西:似ているところ、あります。向上心、やる気、自己肯定感の高さとかは特にそうですね。父親もいろんなことをやりたがる人だったんですけど、学生時代の過ごし方が自分とそっくりなことに気づいたんですよ。例えば、父親はバスケのインターハイ選手や生徒会長をやっていて、学生時代にはグレたり・・・。図らずも、僕もそうだったので、振り返ってみると送ってきた人生すべてが似ているんです。僕も父親も、やりたいことがいっぱいあって、チャレンジをやめないタイプ。追いかけてきたつもりはないけど、気づいたら似ている人生を送っていました。そういうところが、なんとなく後を追ってる感があって面白いなって思います。

憧れるところは、前向きな姿勢です。うちは自営業だったので、子どもの頃は社員さんや取引先の方がいつも周りにいました。色んな大人の人たちから、「お父さんがんばってるね」と褒められることも多かったですし、信頼されているんだなと感じることが多かったです。今、僕も学生募金の活動をしていて、周りの人たちから信頼を得ることの難しさを実感するからこそ、どんなことがあっても常に前向きに頑張る父親って、すごかったんだなと改めて思いますし、見習いたいなって思いますね。

 

イ:成人一年目を終えた今、どんな大人になりたいですか?憧れる人物などはいますか?

西:今、僕は福祉を学んでいるんですが、それもあって「みんながみんな、楽しく平等に生きられる社会をつくりたい」っていつも思っています。世の中には生きづらさを抱えて生きている人がたくさんいることを、様々な立場から見られるようになりました。人間として、生きづらさを抱えた人に心から寄り添える人になりたいと思います。

就職活動も始まったので色々考えることも多いんですが、「理想とする人」とか「誰かを目指す」というより、自分にしかできないことを自分だからやりたい、と思います。「こういう仕事につければいいや」とか「人生こんなもんでいいな」と思って就職するのではなくて、自分の人生は一回きりなので、やりたいことを追及してやっていきたいなって思います。これも、自営業で働いていた父親の影響があるのかもしれませんけど、あしながの活動を通して視野が広がったおかげでもあります。

 

イ:「西本泰河」の人生ブランド化ですね!西本さんらしいまっすぐな目標で素敵です。自分をブランド化することはとても難しいゴールだと思いますが、いつも周りの仲間たちを上手く巻き込んでチャレンジを続けている西本さんならきっと達成できると思います。今日はたくさんお話を聞かせてくれてありがとうございました!

西:ありがとうございました!これからもいろんなチャレンジを頑張っていくので、よろしくお願いします!

成人式で地元の友人と。


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