「夢の実現のためにぜひ支援を活用してほしい」-あしながさんインタビュー-
あしなが育英会は「広く社会からのフィランソロピー(やさしい人間愛)精神に基づく支援によって、遺児へ教育支援と心のケアを提供し、やさしさの連鎖を世界中に広げながら人間の尊厳が脅かされることのない社会をめざす」という理念のもと活動を続けています。そして、私たちの活動はご賛同くださる方々からの寄付によって支えられています。
今回は、2021年1月からあしなが育英会へのご寄付をいただいている高江洌 将さんにインタビュー。寄付を始めたきっかけとなった出来事や遺児の支援に対する熱い想いをお話しいただきました。
自動車販売のお仕事を通じて、遺児への支援に関心を持つように
現在36歳の高江洌さんは、父親が経営する自動車の販売や車検などのメンテナンスを請け負う会社の2代目。自動車関係の仕事柄、交通事故でひとり親家庭になってしまった遺児に関心を抱くようになったと話します。
「車に関係する仕事をしていることもあって交通事故というものを人より身近に感じています。一時期、職場の近くで交通事故が頻繁に続いた時期があり、死亡事故となってしまったこともありました。私自身結婚し子供を持つなどライフステージの変化がある中で、そういったニュースを聞くたびに遺族の方の気持ちを考えることが増えてきました」
そんな高江洌さんは以前から支援活動やボランティアに興味を持っていたそうです。
「最初にボランティアに興味を持ったのは小学生の頃です。テレビでルワンダのキャンプの取材映像を見たのですが、水と少しの食べ物だけで生活していると知り衝撃を受けました。子どもながら家にあるお菓子や食材をいますぐにあげたいと思ったことを覚えています。苦しんでいる人々のために何かしたいという気持ちはずっと持っていて、社会人になってからも支援について考えてきました」
仕事をしながらできる支援を模索し、あしなが育英会と出会う
ライフステージの変化もあり、より遺児への支援やボランティアに関心が高まっていった高江洌さん。さまざまな方法を模索する中であしなが育英会を見つけたそうです。
「あしなが育英会のことは、インターネットで遺児への支援について調べていた時に見つけました。ホームページを見ていたところ、オンラインで継続的に寄付ができることを知り早速寄付を始めることにしました。寄付金の使い道を選べたので、国内遺児の教育支援・心のケア、そしてアフリカ遺児の教育支援の3つに寄付しています。金額も自由に選べるので、生活に支障がないよう、毎月継続して寄付ができる金額を設定できるので無理なく続けられています」
5つから選べる寄付の使い道のうち、3つを選び継続的に寄付を行っている高江洌さん。どれも必要な寄付ですが、高江洌さんは心のケアに最も関心を寄せているそうです。
「5つの寄付はもちろん全て必要ですが、私は心のケアが最も大切だと思っています。教育ももちろん大事ですが、心さえ豊かであれば幸せを感じられるのではないか、そう考えています。遺族を失った方の気持ちは、経験のない人にははかり知れないものだと思います。励ましたくてもどのような言葉をかけたらいいのか、私自身分からない部分もあります。ですから、心のケアというものを仕組みとしてしっかり作っていくことが遺児たちの支援のなかで最も大切な物だと私は考えました」
遺児から感謝の声が届くことが寄付を続けて良かったと感じる瞬間
遺児への支援に強い想いを持っている高江洌さん。寄付者に送られる機関紙「NEWあしながファミリー」と遺児奨学生からの近況報告を聞き、感謝の気持ちを感じていると話します。
「自分の行いが、遺児を1人でも支援することにつながっていたらうれしい。そんな思いで寄付を続けていました。あしなが育英会から届く機関紙には寄付がどのように使われているかといったことや、支援を受けた遺児からの感謝のメッセージが掲載されていて、見るたびにうれしさを感じています。なかなか支援を受ける側の声を聞くと言った機会は少ないので、自分が思っていた以上に感謝されているんだと暖かい気持ちになりますね」
高江洌さんは遺児からの感謝の気持ちを感じる一方で、もっとこの声を全国の人に届けられないだろうかと考えているそう。
「あしながファミリーで掲載されているような遺児の現状が、一般的なメディアでもっと発信されて欲しいと思っています。遺児の貧困についてのニュースが報道された時には一時的に何とかしたいと思う方が現れるかもしれませんが、日々変わるニュースの中でその想いを継続することは難しいと思っています。インターネットの情報も偏りが多いので、こういった遺児の生きた声を届けられる環境が多くの人の目に触れる場にあると、寄付への関心が高まる人が増えるのではないかと思いました」
将来的に遺児への支援を自分の会社で行っていきたい
『誰もが平等に生きられるように。』そのような想いを抱き、あしなが育英会への寄付を始めてくださった高江洌さん。将来的には寄付だけではなく、ご自身でも支援活動を始めたいという目標があることを教えてくれました。
「将来的には会社で遺児の支援活動を始めていきたいと思っています。そのための一歩として、個人で寄付を始めました。個人単位での寄付から始めて、いずれは会社の事業と絡めてできないかと考えています。例えば私の会社ですと車の販売や車検を行うことが主な収入源になっているので、車を一台売ったら○○円寄付、車検を1台行ったら○○円寄付と言ったように、売上の一部を支援に回すことで、『永続的に支援が止まらない』そんな仕組みを作れるのではないかと思っています」
個人だけでなく、会社単位で支援活動をすることで従業員や取引先の方を含め、多くの人たちに寄付への関心を高めていきたいと話す高江洌さん。その心には、遺児たちが直面する困難な現状を改善したいという強い想いがありました。
「あしなが育英会の会長の『怠けた貧乏は自業自得だけど予期せぬ貧乏は政治や社会の問題』という言葉にとても感銘を受けました。私自身は両親も健在で、大学にも通わせてもらい社会人になりました。一方予期せぬ出来事で家族を失い、大学に通いたくても通えない、1日3食食べられないというような境遇の方もいて、そういったことにもどかしさを感じていました。現在はコロナ禍ということもあり、遺児でなくても生活が困窮されている人もいます。誰もが平等に夢を追いかけられるような社会にしていくために、もっと制度を整えていけたらと思っています」
遺児たちに伝えたいこと『やりたいことに突き進んで欲しい』
”誰もが平等に生き方を選択できる社会にしたい”という強い思いで寄付を続けている高江洌さん。最後にお尋ねしました。『遺児に伝えたいメッセージはありますか?』
「とにかくやりたいこと、勉強したいことに向かって突き進んで欲しいと思っています。支援を受けることに後ろめたさを感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、追い目を感じずに、夢の実現のためにぜひ支援を活用してほしいです。自分のやりたいことを諦めずに、助けを借りられるところは借りて、明るい未来に進んでいける方を1人でも増やせるように私も寄付を続けていきます」