生徒会長の仕事はみんなのために|ニコラスさん
ルベガ・ニコラスさん (都城東高校3年生・ウガンダ共和国)
留学生初の生徒会長に当選!
今年の11月末まで宮崎県の都城東高校で生徒会長を務めてきたウガンダ出身のニコラスさん。彼は2019年4月にあしなが高校留学生として来日しました。
来日から1年間は日本語や日本人学生との関係に苦労したニコラスさんでしたが、日々の授業や補講、週末前には徹夜して日本語を猛勉強し、2年生になるとクラスメートと同じ理解度で授業を受けられるまでになりました。そして、「日本人学生と留学生の間の壁を取り除き、みんなが楽しく過ごせる学校にしたい!」と生徒会長に立候補。明るくまっすぐなニコラスさんの姿勢は生徒たちの支持を集め、2020年10月、都城東高校初の留学生生徒会長に選ばれました。
1年間の任期を終えた彼は今年10月29日、宮崎県宮崎市のロータリークラブで、自身の体験について日本語でスピーチを行いました。
スピーチ全文
みなさん、こんにちは。私は3年2組のルベガ・ニコラスです。私は都城東高等学校の旧生徒会長です。
はい、正真正銘の生徒会長です。すでに驚いている方もいらっしゃると思いますが、心配はいりません。私自身日本人ではありませんので生徒会長に選ばれるとは一度も思っておりませんでしたが、とても大きな野望と目標を持って出馬に挑み、驚くことに生徒の皆さんが私を信頼してくれました。
生徒会長としての私は、浮き沈みに満ちた旅でした。学ぶことの難しさやとても多くの困難であきらめたくなることもありましたが、先生方や生徒会役員や友達が難しさに直面したときはいつでも側にいてくれたおかげで、救われました。
学校の生徒会長として、みんなでクラスマッチや文化祭、歓迎会などと言った学校のスポーツ、文化行事等を常に計画してきました。それに加えて、ボランティア活動やその他楽しみいっぱいの遠足なども主催しました。そのため、生徒会長としての任期は非常に有意義な経験となり、教訓となり、失敗をも経験しましたが、何よりも多くの友達を作ることが出来ました。
私にとっては、自分自身のために生きることはとても簡単な事だといつも本当に思っています。勉学や、仕事、結婚、老いていくことそして死を迎えることの中での難しさは、その人生を生きる中で、何の意味があるのかです。また、死を迎えたときに誰を頭に思い浮かべることが出来るかです。誰の人生を変えることが出来たかです。
もちろん自分自身のために生きることに問題はありませんが、それは本当の意味ではないと思います。ですからボランティアは私の人生をかたどり、今私はこうして見返りを期待せずに他者を助け、他者のためになることの喜びを見て感じることができるようになりました。
私は自分自身がお手本となり、共感し合い、コミュニケーションスキルを駆使して、挨拶などといった小さな行動からでも人の人生を変えることが出来ると多くの人に伝えることで、より多くの人にボランティア活動をしてもらいたいと思っています。
ニコラスさんにとって日本での高校生活は、勉強や自己成長の機会という枠を大きく飛び超えて、“周りにいる人々と喜びを分かち合うために積極的に行動する”体験をもたらした、特別な時間となりました。ニコラスさんにこの機会を与えてくださり、いつも応援してくださるあしながさんに、心より感謝申し上げます。
あしながウガンダが実施している「高校留学プログラム」では、現在、3人のウガンダ人学生が日本の高校への留学を待っています。コロナ禍における渡航制限の影響もあり、3人ともウガンダからオンライン授業や日本語の勉強を続けながら、日本へ行ける日を心待ちにしています。この3人もニコラスさんのように、様々な壁を乗り越え、豊かな高校生活が送れるよう、これからもサポートしてまいります。