新入生を歓迎 「心塾キャンプ」で絆づくり(東京)
あしなが育英会が運営する大学奨学生のための学生寮「あしなが心塾」(東京都日野市)で、5月10日~11日の2日間、2025年度の「あしなが心塾キャンプ」が開催されました。57人の大学奨学生(以下、塾生)が参加し、ディスカッションやレクリエーションで親睦を深め、新入生を歓迎しました。
「心塾」で、共に考え、行動し、仲間になる
2006年に開塾されたあしなが心塾には、日本全国、世界のいろいろな国・地域から集まった塾生たちが暮らしています。1年生から3年生は2~4人で一部屋をシェアし、朝夕の釜の飯を共にして生活します。
学生寮であると同時に、名称のとおり人材育成のための「塾」でもあり、英会話や読書感想文、AI講座など各種学びの場も提供しています。塾生たちが健やかで有意義な大学生活を送れるよう、さまざまなサポートも整っています。
大学生たちは、心塾で4年間を過ごす中で、仲間と語り合いぶつかり合いながら、「生涯の友」と呼べる関係を築いていきます。
全員が一堂に会する「心塾キャンプ」
あしなが心塾では毎年5月、新入生を歓迎し、塾生全体の交流を深めるイベントとして、「心塾キャンプ」を開催しています。
心塾キャンプは、家庭背景も文化的価値観も異なる塾生たちが一堂に会する貴重な機会でもあります。心塾での暮らしについて深く考えたり、仲間意識を高めたりする場として、塾生総会や生活ルールの再確認、共同作業やレクリエーションなどさまざまなプログラムを取り入れています。
あしなが心塾の職員と2年生以上の塾生たちが協力して企画・運営しており、日ごろ暮らしている寮の施設内で行われるものの、キャンプらしく非日常が味わえるよう、さまざまな工夫もされています。
2025年度心塾キャンプの主なプログラム
【1日目】
・開会式
・アイスブレイク
・職員紹介、施設紹介
・2日目の昼食の買い出し
・レクリエーション
・交流の時間
【2日目】
・塾生総会、心塾ルールの確認、委員会の時間
・カレーとピザづくり
・交流の時間
1日目
午前:自分たちが住む「心塾」を知る
塾頭代理による開会の辞で、心塾キャンプが始まりました。まずは、眠気覚ましのアイスブレイク。30までの数字が書かれた紙を短時間に踏んでいく、チームワークが求められるゲームで身体を動かしました。続いて、あしなが心塾と、併設の「あしながレインボーハウス」(心のケアプログラムのための施設)についてのレクチャーが行われました。
そのほか、「心塾クイズ」やレインボーハウス職員によるケアプログラムの紹介などもあり、新入生にとっては、心塾の全体像を知り、理解を深める時間となりました。
午後:共同作業で仲間を知り、仲を深める
午後は、複数のチームに分かれて、2日目の昼食(カレーとピザづくり)に使う食材の買い出しへ。スーパーマーケットに行く道すがら、先輩たちは1年生に声をかけて、新生活の様子を聞いたり心塾近辺の情報を伝えたりして、仲を深めていました。
夜には、心塾の庭に出て、かまどで小さなキャンプファイヤー。炎を囲んでおしゃべりをする機会は、現代の生活ではなかなかありません。
新入生の男子学生は、「1日目の夜にしたキャンプファイヤーがすごく良かったです。火は小さかったけれど、炎を囲んで話ができたのがいい思い出です。日常生活を寂しくないものにしたいです。今のところ、とてもにぎやかで気に入っています」と、心塾の雰囲気を気に入ったようすでした。
レクリエーションの時間には、皆の手形でアート作品を作りました
2日目
午前:共に気持ちよく暮らすために、話をしよう
あしなが心塾には塾生が作る委員会があり、塾生長と副塾生長がいて、学生が主体的に塾の運営に関わる仕組みが設けられています。
キャンプ2日目の午前中は、委員会が中心となって「塾生総会」が行われました。
塾生長による開会あいさつに始まり、代々、塾生の間で受け継がれてきた「塾生条例」の確認と、内容を周知するためのポスター作りをしました。塾生条例には、共同生活をする上で大切な挨拶、コミュニケーション、整理整頓、行事への参加などについてのルールが書かれています。強制力や罰則はありませんが、あえて「条例」という言葉を使うことで、その大切さを示しています。
「7つの条例は、当たり前のことだけれど、とても大切」と、塾生長
全員でルールを確認した後は、ルームメイト同士で、居室ごとの細かいルール「ハウスルール」を決めていきました。「開けた戸棚は必ず閉める」「12時過ぎたら灯りを消す」など、一つひとつは小さくても、気持ちよく部屋を分け合うためのアイディアを話し合いました。
このプログラムを担当した塾生は、「心塾は他の人のことも考えて生活しなくてはいけないところ。失敗は誰にでもあると思います。でも、次にそこからどう行動するかが大切です。互いに思いやりのある行動をしましょう」と、全員に語りかけました。
午後:釜の飯を共にする仲間
午後は、カレーライス班とピザ班に分かれて昼食作りです。レンガで自作した「かまど」と「ピザがま」を使い、施設の庭で屋外調理をしました。カレー班には、ナンを手作りする学生も。皆を喜ばせようと、各班が創意工夫をこらしました。
キャンプらしく、火起こしも自分たちで
ピザ窯で焼いたピザは格別な味。皆が喜ぶ顔もまた格別
調理の後は、自分たちで協力して作った食事を楽しみながら、生まれ育った地域も、学校も、学年も、時には国籍も違う仲間たちとおしゃべりをして、お互いの絆を深めました。
新入生たちは、2日間の交流でさまざまな不安を解消し、多くの気づきも得たようです。最後に、参加した新入生の感想を一部ご紹介します。
新入生の感想
大学進学に伴って、心塾にきました。もっと堅苦しい所と思っていましたが、話やすい先輩ばかり。グループでの買い出しが楽しかったです。(1年生女子)
出会いも何かの縁だと思うので、いろいろな人とコミュニケーションをとりながら、楽しい塾生活、意味のある大学生活を送りたいです。あしながさん、いつもご支援、ご協力ありがとうございます。感謝しています。(1年生男子)
すごく楽しい時間です。今日はずっと話したいと思っていた先輩とも話せたし、他の1年生とも関われたのもよかったです。レインボーハウスのプログラムにも参加したいです。(1年生女子)
私達が毎日安全で楽しい生活が送れているのは、あしながさんのご寄付や温かいご支援のおかげです。将来に向かって精進していきたいと思います。私は、小学校の教員になるために、日々勉強しています。子ども達に『学校、勉強が楽しい!』と思ってもらえるような環境づくりのためにも、様々な活動に積極的に参加していきたいです。
この心塾キャンプでは、自分ひとりではできないことも、みなで協力すればできるということに気付きました。これからの生活に役立ていきたいと思います。(1年生女子)
私は今、たくさんの経験を積むことが出来ています。大学へ通えることのありがたみを忘れることなく、夢の実現に向け勉強し続けたいです。勉強以外にも、積極的に行事やボランティアなど多くのことに挑戦したいです。これからもあしながさんに感謝を忘れず、一日一日を大切に過ごしていきます。本当にありがとうございます。(1年女子)