共に学び、遊ぶ夏 〜東京で「LSPサマープログラム」を初開催〜
一般財団法人あしなが育英会は2025年8月2日から4日に、小中学生遺児向けオンライン学習支援事業「ラーニングサポートプログラム」(以下、LSP)の夏休み特別企画「LSPサマープログラム」を開催しました。
LSPとは、遺児家庭の子どもたちとボランティアの大学生をビデオ通話でつなぎ、毎週1回、1対1で勉強をサポートする活動です。コロナ禍の2020年に始まり、今年で5年目を迎えました。
LSP初の対面行事である「サマープログラム」は、子どもたちが自分自身の将来を考えるきっかけを作るとともに、大学生や小中学生の仲間とのつながりを通して、日々の学習へのモチベーションを高めてほしいとの思いで企画されました。32人の小中学生と11人の大学生サポーターが参加し、2泊3日のプログラムで東京都内のさまざまな場所を訪れ、夏の思い出を作りました。
1日目:大学について知ろう!
初日は晴れわたった空の下、全国各地からやってきた参加者を東京駅と羽田空港で出迎えました。「ひとりだけで新幹線や飛行機に乗ったのは初めて」という子も多く、緊張と期待が入り混じった顔が目立ちます。
まずはホテルで開会式を行い、「東京大学キャンパスツアー」へ。現役の東大生の案内で安田大講堂などを巡り、「大学ってこんな場所なんだ」というイメージをふくらませました。

熱中症対策を万全にして東大キャンパスへ向かう参加者たち
ホテルに戻った後は、大学生たちが自らの人生経験や学生生活について語る「LS交流会」を実施。学生自身がなぜその分野で学んでいるのか、将来なにを目指しているのかなどの話をすると、子どもたちはメモを取りながら真剣な様子で聞き入っていました。
続いてはビンゴゲームを用いて、参加者同士がお互いのことを知り合う時間を持ちました。半日を共にする中で班のメンバーとも打ちとけ、楽しくおしゃべりしながら眠りにつきました。
2日目:みんなで宿題&東京観光!
2日目は、朝からあしなが育英会の本部事務所に集まり、「自由研究の部屋」、「読書感想文の部屋」、「各自で問題を解く部屋」に分かれて、夏休みの宿題に取り組みました。持参した教科書やタブレットに向き合う子どもたちの姿は真剣そのもの。わからないところは大学生に質問して理解を深めました。
ランチタイムには本会会長の村田治も同席し、お弁当を囲んで話に花を咲かせました。

「できた!」。大学生サポーターに見守ってもらいながら宿題をすすめる
午後はバスで東京観光へ。本部事務所から目的地の東京スカイツリーまで、国会議事堂や皇居を窓越しに見ながら移動します。
この日も晴天に恵まれ、スカイツリーの展望台からは東京の街並みが隅々まで一望できました。子どもたちは、家族や友だちにあてて書いたハガキを館内の「スカイツリーポスト」から投函したり、ソラマチでお土産を購入するなど、思い思いの時を過ごしました。

スカイツリー展望台の最高到達点で記念撮影
2日目の夜は、ホテルの多目的室で大学生たちによる手作りの夏祭りが開かれました。ビニールプールいっぱいのお菓子を竿で釣り上げ、射的や輪投げに一喜一憂し、鈴カステラにホイップクリームやチョコレートソースをたっぷりかけて頬張る、最後までわくわくする出来事が盛りだくさんの1日となりました。

夏祭りの射的コーナー。ペットボトルを倒して点数を競う
3日目:映画スタジオを見学しよう!
最終日は、世田谷区にある東宝スタジオを訪問しました。
東宝グループは、2023年より、本会の奨学生を映画上映会や演劇公演に招待してくださっています。今回は社員のみなさんの案内のもと、国内最大規模の映画撮影所である「東宝スタジオ」の施設内を特別に見学させていただきました。

映画の効果音を収録する部屋。さまざまな材質の小道具を使って多彩な音を作っている
数々の名作映画を生み出してきた広大な撮影スタジオや、技巧を凝らした大道具・小道具の保管所、特殊メイクを施すためのスペシャルメイクアップセンターなど、普段は立ち入ることのできない映画制作の裏側を巡った子どもたちは大興奮。歴代のゴジラ映画で使用されたスーツ(着ぐるみ)が並んだ部屋では、迫力ある造形に歓声が上がりました。
ツアー後は、東宝スタジオカフェテリアの限定メニュー「ゴジラカレー」を味わいながら、東宝グループ社員の方々と親睦を深める「ランチ交流会」が行われました。制作、営業、広報など、さまざまな部署で働く皆さんといっしょに食卓についた子どもたちは興味しんしんで質問を投げかけ、目を輝かせて話を聞いていました。

名物の「ゴジラカレー」(TM & © TOHO CO., LTD.)を囲んで、一期一会の会話を楽しんだ
食後はアイスクリームを食べながら、チーム対抗戦の「東宝クイズ大会」に挑戦。「ドラえもんが生まれるのは今から何年後?」「〈ゴジラ〉を漢字で書いてください」などの問題に答えていきます。優勝チームには東宝のオリジナルグッズが贈られました。
ツアーの最後には、スタジオ入口にあるゴジラ像の前で記念撮影。一生に一度の思い出にあふれたプログラムを、満面の笑顔で締めくくりました。

東宝グループ社員のみなさんといっしょに「ゴジラポーズ」
サマープログラム参加者の感想
新しい友だちが何人もできた!めったに行けない東大に行けて、自分も東大に入りたいなと思った。東宝スタジオでは社長といっしょに回れてすごくうれしかった。スカイツリーのてっぺんの景色がとてもよかった。夏祭りでもいろんな遊びができて楽しかった。楽しいことがたくさんできて、参加してよかったと思った。(小学5年生・男子・奈良県)
最初は緊張していてあまり自分から話しかけることができなかったけど、長い時間を過ごすうちにだんだん話が弾みました。ご飯もとってもおいしく、サラダが個人的には大好きでした。このサマープログラムは、私にとっても他の子たちにとっても重要な体験でした。私も大学に入ってたくさんの学びや知識、体験を得たいし、海外に行って留学もしてみたいです。将来についてよく考えるきっかけになったし、勉強面でも自分の課題がたくさん見つかったので、人生に活かしていきます!本当にいい体験をありがとうございました。(中学1年生・女子・福岡県)
とっっっても充実した、自分の将来へつながる経験ができた3日間でした。中学生最後で、これから受験に向かって頑張るつもりの自分にとって励みになる、つらい時に思い出したら楽しくなれる思い出になりました。班のみんなで3日間仲良く過ごせたことが何より一番うれしかったです!大学生の人たちの話を聞いたり、色々な人と関わったことで「人とのつながりって大事なんだな」と再認識できて、自分の未来の選択肢がもっと増えた気がします。またこういう企画があったら参加したいです。(中学3年生・女子・埼玉県)
担当職員のコメント
本会のLSP事業では、小中学生の勉強をサポートするだけでなく、「学ぶ意義を知り、モチベーションを高める」ことを大切にしています。
家庭の事情で新規の場所やイベントに出かける機会が少ない子どもたちにとって、さまざまな人とつながり、視野を広げることは大きな意味を持ちます。
彼らの未来の選択肢を増やすためにも、本会はこれからも豊かな体験をするきっかけ作りを続けていきます。応援していただけますと幸いです。










