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生まれ育った町の「フューチャーリーダー」を目指して|100年構想生|

私たちの生活や計画や人生そのものを大きく変えた新型コロナウイルスの蔓延。しかしそれは同時に、ウイルスがどんなに猛威を振るっても変えることのできないものがあるということを明らかにしました。ウイルスによって変えられなかったもの。

それは、人が持つ志と情熱のエネルギーです。今日は、そのことを私たちに教えてくれたウガンダ出身100年構想生アポロさんのストーリーをお届けします。

一度は進学を諦めた少年の道を拓いた「フューチャーリーダー奨学金」

 

アポロさんは4歳のときに父親を亡くし、その後家族は母方の祖母の家に身を寄せ、母親が豚や飲料水を売ったお金で生計を立てることに。教育熱心なアポロさんの母親はどんな時も「教育が人生をよくするのよ」と子どもたちに言い聞かせ、「勉強しなさい」ではなく「人生から学ぶようにね」と言い続けていました。

 

とはいえ実際には、稼いだお金はすべて生活費をまかなうことが精一杯で、学費に回すほどのゆとりがない暮らし。アポロさんは勉強を続けるため、金属類やプラスチックなどを拾い集めて小銭に変え、学費の足しにして小学校に通っていました。学校に行けない日も少なくありませんでした。

 

そんな彼が小学校の最終試験で良い成績をとったとき、先生たちは大変驚きました。当時、あしながウガンダレインボーハウスのケアプログラムに通っていたアポロさんは、レインボーハウスから支給されたノートやペンを使って、学校に行けないときでも独学で勉強を続けていたのです。

 

ちょうど同じころ、成績優秀な学生に6年間の中学・高校の学費を支給するという、あしながウガンダレインボーハウスの「フューチャーリーダー奨学金制度」の案内がありました。迷わず応募したアポロさんは見事その年の奨学生に採用され、国内屈指の全寮制の中高一貫校「Kings College Buddo」への進学を果たします。中学・高校では勉強のみならず、寮長や規律委員会の委員長、各種クラブの代表など様々な分野のリーダー職にも挑戦し、その類い稀なるリーダーシップは学校から表彰されました。

 

 

4_アポロ表彰

 

“ウガンダにおいて、成功するためのはっきりとした道はありません。しかし今、教育を通して、自分は人としてより成長できると実感しているからこそ、勉強していこうと強く思います”

生まれ育った町良くしたい!勉強にかける想い

”(コロナ禍での)ウガンダの生活は日々厳しくなっています。

朝目覚める度、何もやることがないことに気づき、

このままではいけないと思うのです。

私は、家族や隣人の暮らしをよくしたい。

苦しんでいる人たちみんなを助けたい。

私は、この状況は変えることができる、私にもできることがあると思います。

毎日目に映るすべてのシーンが、自分を突き動かすモチベーションなのです。”

 

高校を修了する2019年。アポロさんは海外で勉強を続けたいと、あしなが育英会の「アフリカ遺児高等教育支援100年構想」奨学金制度に応募し、採用されました。進学先は東京にある国際基督教大学。多様な価値観とグローバルな知識、そして広いネットワークの構築を留学中の目標に掲げ、来日を心待ちにしていました。しかし、新型コロナウイルス蔓延による渡航制限で来日は中止に・・・。現在はウガンダからオンラインで大学の授業を受けています。

 

100年構想生としてアポロさんが成し遂げたい志は「生まれ育った町を良くすること」。

特に、新型コロナウイルスの影響で大変な日々を送るナンサナの人たちを目にするたび、その思いが強くなっていきました。そこで、渡航延期によって地元で過ごす時間を得たアポロさんは、町の衛生環境改善のための実践的な行動を起こします。

 

 

テラコヤキッズと

レインボーハウスの子どもたちにとっても憧れの存在。

国際的な注目を集める若きリーダーの誕生

 

現在アポロさんがリーダーを務める「ナンサナ・クリーニングクラブ」は、設立2年目ながら常時100人程の若者たちが所属する活発な団体です。月1回、ナンサナ市内において、市場や学校、貿易センターなどでの清掃活動や、清潔な環境の重要性に関する意識向上を目的とした衛生環境啓発イベントなどを行っています。2020年には、新型コロナウイルス感染予防の啓発活動として、非接触型体温計を使って市場に入る人の体温チェックや手洗い励行活動などを積極的に行いました。

 

こうした新型コロナ感染予防に関する具体的な活動は国際的な注目を集め、アポロさんは同年、“25 Under 25: Leaders Changing the Game 2020(25歳以下のゲームチェンジャーとなるリーダーたち25人)” のファイナリストにノミネートされました。この賞は、ナイジェリアのNPO「iKapture Networks」が創設した、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」に基づいた地域社会の変革を積極的に推進しているアフリカのリーダーを表彰するものです。

アポロさんはさらに、国連環境計画(UNEP)とサムスンエンジニアリングが運営する「Tunza Eco-generation」による“26th Eco-Generation Regional Ambassador for Uganda(第26回エコ・ジェネレーション大使/ウガンダ)”に選出されたほか、ナンサナ・クリーニングクラブも、“Samsung Hidden Eco-Hero Award 2020(サムスン隠れたエコヒーロー賞2020)”を受賞しました。

 

「生まれ育った町を良くしたい!」という志を持ったアポロさんはすでに、アフリカのフューチャーリーダーとして大きな一歩を踏み出し始めています。

 

 

 

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