教育格差是正への新たな挑戦~LSP(ラーニングサポートプログラム)~
LSPとは?
あしなが育英会では、昨年新たな取り組みとして「ラーニングサポートプログラム(以下LSP)」を始めました。現在は、2021年3月までトライアルプログラムを運営しています。
LSPでは、遺児家庭の小中学生に学習支援を行っています。実際に学習指導をしているのは様々な困難を経験しながらも大学進学を果たした、本会奨学生を中心とする学生たちです。学習者である小中学生が大学生との関わりを持つことで学力の向上だけでなく、ロールモデルの発見や、自分のことを話せる居場所作りを目指しています。また、大学生にとっては、後輩遺児の学習サポートやコーチングを通して、社会課題と向き合い、自己成長の機会となることを期待しています。
LSP立ち上げの背景
国内調査(*) によれば、子どもの教育費には家庭環境により大きな格差があり、それが学力や自己肯定感にも影響を及ぼしているという結果が出ています。特に学力格差が開き始めるのは小学4年生頃と言われており、遺児家庭を含む貧困家庭の子どもにとって大学進学できるかどうかの『分岐点』は高校進学前であると言えます。実際に、昨年の緊急事態宣言中にオンラインの学習環境整備が困難であった遺児家庭からは子どもの教育や学習を強く心配する声が多く寄せられました。そこで、本会では高校進学前の子どもの学力・非認知能力(生きる力)を伸ばすことが必要だと考えました。このような背景から発足したのがLSP(ラーニングサポートプログラム)です。
(*):「家庭の経済格差と子どもの認知能力・非認知能力格差の関係分析」 日本財団調査研究 H30 箕面市子ども見守りシステム2.5万人のビッグデータから見えてきたもの 参照
プログラム概要
小中学生と大学生が1対1のペアを組み、毎週1回1時間のセッションをオンラインで実施しています。また、家庭環境に左右されず学習に取り組めるよう本会よりデバイスと通信環境を無償提供しています。また、週1回のセッションとは別に不定期で特別イベント(キャリア教育や外国語活動など)を行っています。
これまでの取り組み
トライアルでは、約30のペアが毎週学習サポートのセッションを行っています。2020年10月からこれまでで延べ400回(400時間)のセッションが行われました。各ペアによって学習の進捗度は異なりますが、ほとんどのペアが信頼関係を築けており、一部では既に成績やテストの点数に良い成果が出始めています。
ーーコロナ禍でも「学びをとめない。」あしなが育英会ではLSPを通して経済格差=学力格差とならない社会づくりに貢献していきます。数年後には、LSPに参加した小中学生らが大学生となり、次世代にバトンを繋いでくれることを目指します。