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職員インタビューエンノシタ 「奨学生とあしながさんが私のモチベーション」

職員インタビュー エンノシタ#2

「奨学生とあしながさんが私のモチベーション」

沼志帆子 アフリカ事業部100年構想課(東京都出身)

アフリカ大好き!

私は2006年にあしなが育英会に入局しました。現在は100年構想第1課と2課の課長を務め、アフリカからの奨学生支援と、大学関係、アフリカ奨学生採用の仕事をしています。今年の1月からは、あしながウガンダの運営サポートもしています。元々、アフリカに興味があったので、あしなが職員になったという経緯があり、仕事にやりがいを感じています。

 

私は日本生まれですが、親の仕事の都合で、物心ついたころから大学を卒業するまでのほとんどの時間を、海外で過ごしてきました。あしながで働き始めたころは、本当に久しぶりの日本生活で、日本語はあやふや、日本の常識も習慣もよく分からないという状態でした。ウガンダレインボーハウスのケアプログラムに参加していた女子学生が、早稲田大学に合格!という快挙をなしとげたのが2006年。その学生をサポートするのが私の最初の仕事でした。その後は、ウガンダ事務所やアメリカ事務所立ち上げなど海外勤務もありながら、18年間あしなが育英会で働いています。

アフリカ遺児高等教育支援100年構想をもっと知って欲しい

本会のアフリカ遺児高等教育支援100年構想(Ashinaga  Africa Initiative 以後AAIと省略)事業は、昨年10期生を迎えました。現在までに307人の奨学生を世界各地の大学に送り出しています。今は47人が日本に留学中で、そのうちの11人は東京と神戸の心塾で日本の奨学生と共に生活しています。

 

アフリカ諸国から来た奨学生、私たちはAAI生と呼んでいますが、彼らが日本に来てから無事に大学を卒業するまで、様々なサポートを提供するのが学生支援の仕事です。AAI生たちは全員が遺児。ほとんどが自分の生まれ育った地域から出たことすらなかった人たちです。全く違う環境、全く違う言語、全く違う文化の中で、知性と人間性を高めるハードな挑戦が求められます。「志をもって、アフリカに貢献するリーダーになる」という、AAIのミッションが達成できるよう、彼らをサポートします。

 

大学関係というのは、AAI生が学ぶ大学との関係構築や連携を行う仕事です。AAI生の学費を低く抑えるために、多くの大学と学費免除または減免の協定を結んでいます。多種多様な価値観をもつ彼らと、日本の大学生が共に勉強するのは、大学にとっても有益なことですよ、とアピールすることも大切な仕事です。

 

TICAD

 

2019年横浜で行われたアフリカ開発会議(TICAD)にAAI生たちと参加(左端が沼)

日本の奨学生とあしながさんとの出会いが私を変えた

あしなが育英会に入局した頃は、スタッフの人数が少なく、アフリカに関わる仕事をしながら、募金も、学生寮の仕事も、つどいも、何でも皆で行う感じでした。その当時、日本の奨学生や、あしながさんと関われたことは、本当に私の人生を左右するくらいの意味がありました。もし、あの体験がなかったら、今の私はいないと断言していいくらい、最初の4年間に私が受けたインパクトは強いものでした。

 

子ども時代から、私が海外で出会った日本人は裕福な人が多かったので、お恥ずかしい話、日本に経済的に困難な人がいるということを、全く知らずにいました。あしなが奨学生を通して、ひとり親家庭の厳しい状況を知って、強い衝撃を受けました。奨学生たちは大変な環境の中で生きてきたにも関わらず、様々な困難を乗り越えて、優しく、たくましく育っていて…。ものすごく頑張っている姿に心打たれました。自分がへこたれそうになった時、「あの子たちが頑張っているのに、私があきらめるの?」と気持ちを奮い立たせたことが何度もありました。

 

それと同時に、募金で出会うあしながさんの優しさ、寛大さにも、衝撃を受けました。あしながに寄付をしてくださる方々は、お金に色々な思いを乗せて下さっています。自分が学校に行けなかったから、子どもを亡くしたから、子どもが大きくなったから、と、寄付してくださるお金に希望や期待を乗せて下さっているのが分かります。そのことに感動しました。

 

こうして出会った人たちが、私の心を揺さぶってくださったから、私の世界、視野が大きく広がったと感じています。そしてその時の衝撃が今でも最大のモチベーションとなっています。もし、帰国子女のまま普通に就職していたら、こんな豊かな人生にはならなかったかもしれない、と思うのです。

女性がイキイキと働ける社会を目指して

あしながは、アフリカ、北南米、ヨーロッパに海外事務所があり、スタッフも国際色豊かです。女性管理職も多く、結婚・妊娠・出産・子育てを通して、働きやすい環境だと感じています。もちろん、長い歴史のある団体なので最初からそうだったわけではありませんけれど、時流に沿って、少しずつ新しい制度が導入されてきた結果です。男女、年齢、国籍問わず、誰にとっても働きやすい環境を実現するのは、とても大事なことと感じています。

 

私自身、3人の子どもを育てながら、フルタイムで管理職を務めています。3回の産休というブランクがありながら、管理職を続けられて幸運でした。他の会社では産休明けに降格させられるケースや重要な仕事から外されるケースなどがあると聞きました。日本のジェンダー・ギャップ指数(経済活動、教育水準、健康寿命など男女格差を示す指数)は146カ国中116位(2022年内閣府発表)で、先進国の中では最低レベル。その現実を何とかしたい!という思いは強いです。私に何が出来るだろう?と考えて、2022年にキャリアメンターの勉強を始めました。資格も取得。オンラインで、働く女性の相談を受けるメンタリングセッションを行っています。

 

私はあしなが育英会で働くのが大好きです。人とのご縁に恵まれました。仕事も充実しているし、やりがいも感じています。だから、世の働く女性を何とかサポートしたい、働きやすい社会にしたい、という気持ちで、平行してキャリアメンターの仕事もしています。

 

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2002年青年海外協力隊としてニジェールへ。この経験があしながにつながった。

学生さんたちへ!

やりたいことがあるのであれば、自分の気持ちを大切にして、実現に向けて動いて欲しいと思います。日本は世界的な視野でみると、パスポートの渡航制限もなく、紛争地域でもなく、国に制限されることがほとんどありません。私たちはとても幸運なのです。だから、やりたいことを諦めてしまう「○○だから、○○できない」という考え方は、本当にもったいないと思います。ちょっと視点を変えたり、工夫をこらしたりすれば、ほとんどのことはどうにかなるもの。それでもだめだったら、それは縁がなかったということです。じゃあ、他に何ができる?と、「その次」を考えるプロセスの中に気づきや学びがあります。結果的に実現できなかったとしても、気づきと学びは無駄にはならないと思います。

あしながさんへ

あしながさんには、感謝しかありません。自分たちの仕事ができていることにも、心から感謝しています。入局当初、あしながさんとお話をする機会が多くありました。自分が寄付者の立場だったら、そこの職員にはしっかり仕事をして欲しいと思います。ですから、あしながさんに恥じることのない仕事がしたいと、いつも思っています。支援者に対していい活動をするには、働いている私たちがハッピーで、充実感を持って仕事しないといけませんものね。あしながさんに失礼がないよう、これからも自分らしく仕事します。

 

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2010年あしながウガンダレインボーハウスで、子どもたちに囲まれて(子どもの中央に沼)

 

(聞き手 田上菜奈)

投稿者

田上 菜奈

あしなが育英会では、会長室、アフリカ事業部100年構想を経て、現在は「お母さん相談室」という部署を担当。保護者からの相談の受付や心のケアプログラムの保護者チームの運営に携わっている。「保護者インタビューまなざし」も執筆している。

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