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6/16は父の日〈遺児の作文紹介〉|子どもたちの喪失体験に寄り添うグリーフサポート

2024年の父の日は6月16日(日)。一般的には、お父さんに日頃の感謝やねぎらいの気持ちを伝え、プレゼントを贈ったり家族で過ごしたりする日となっています。しかし、親を亡くした子どもたちにとって、亡くなった親を意識することで「グリーフ」*を感じやすくなるときです。

*グリーフ(grief):喪失に伴う様々な反応

本記事を読まれた皆様には、

  • 家族とのつながりを想起させる時季には、亡くなった親への想いを巡らせたり、喜び・悲しみ・怒りなどのさまざまな気持ち(グリーフ)を感じたりしている子どもたちがいること
  • グリーフを感じるのは、誰にとっても自然な反応であること
  • グリーフは一人ひとり違い、さまざまなグリーフの現れ方があること

を知っていただき、グリーフサポートの重要性を考えるきっかけにしていただけたら嬉しく思います。

遺児の作文紹介

本記事では、2018年に本会が発行した遺児の作文集『父の日にお父さんはいない ~親を亡くした子どもの作文集~』から、3点をご紹介します。

 

どうして「悲しい父の日」があるの

 

私は5歳のときに、お父さんを亡くしました。お母さんには言っていませんが、父の日がとても悲しいです。

私は父の日にいつも思います。どうして悲しい父の日があるんだろう。

私は保育園のときにパパを亡くしたので、少ししか記憶がありません。だから私は父の日があると、「どうしてパパのことを、少ししか覚えていないの」と思うようになりました。

私は頑張って、「父の日なんだから笑わなきゃ」と思います。

周りの人は父の日はいい日ですが、私にとって父の日は、悲しいという気持ちでいっぱいです。でも、大きくなるにつれてパパに「どんどんがんばるよ」と伝えたい気持ちも出てきました。

私は父の日にパパに言いたいことが、山ほどあります。「あしたはテストだからがんばるね。」とか、「今日は、いろんなことがあったよ。」とか、いっぱい父の日に言いたいです。

でも、これがいちばん言いたいです。

「パパありがとう、育ててくれて。レインボーハウスというプレゼントもくれて、ありがとう。」と言いたいです。

もう一度、パパに会いたいです。

 

小学4年生・女子

 

お母さんがかなしくなる

 

ぼくは1才の時に父さんを亡くしました。お父さんは優しかったとお母さんが言っていました。お父さんが死んだとき、ぼくが1才の時だったから、どんな人かわかりません。だから命日もわかりません。だけど、たまにお墓参りに行きます。いつも花をお供えしたり、お墓を洗ってあげます。お母さんは「お墓の上をさわると、父さんが気がつくよ」と言っていました。

ぼくは父の日には、なにもしません。母の日にはお母さんに花をあげたりします。父の日になにもしないのは、ぼくとしてはお母さんが悲しくなるからだと思います。

ぼくは父の日も、お父さんの命日も、父が好きな食べものなどをあげたりしたいと思います。父さんに喜んでもらいたいからです。

 

小学5年生・男子

 

お父さんは小さい神様

 

父の日の時は、いつもお仏壇の前に家族3人並んで、お線香をあげています。父の日のごはんは、お父さんが好きだったハンバーグを、お母さんと私とお兄ちゃん3人で作っています。出来上がると小さいお皿に、1切れのハンバーグとソースをかけて、お仏壇の所においてお線香をあげています。


父の日の時、私はいつも、「父の日おめでとう」と、お仏壇の前に正座をして、手を合わせて、毎年ずっと言っています。でも時々、「父の日おめでとう」と、「いつまでも見守っていてください」という言葉をかける時もあります。命日の時は、ハンバーグではないけど、父の日と同じように、お仏壇の前に座って、父の日と同じ言葉をかけています。


私はお父さんのことを、小さい神様だと思っています。たとえば、なにかのテストで、合格しなければならないときには、前日に、お仏壇の前に立って、「お願いします」と願っています。だから、お父さんは、小さい神様です。


小学6年生・女子


>>>2024年の「母の日」には遺児のお母さん作文集を発行しました

「父の日」の向こう側にある、子どもたちの心に寄り添う

死別や喪失を経験すると、誰にでも「グリーフ(grief)」と呼ばれるさまざまな感情・反応が現れることがあります。グリーフは、頭痛や腹痛など身体の不調や、対人関係がうまくいかなくなるなどの形で現れ、日常生活に影響を与える場合もあります。


子どもたちは、心や体を通して、さまざまな形でグリーフを表現しています。一見すると問題行動のように見えることもあるかもしれませんが、これらはグリーフの自然な反応であり、病気ではありません。著しい変化がある子もいれば、何ごともなかったように振る舞う子もおり、一人ひとりのグリーフがあります。

 

今回ご紹介した作文では、子どもたちが「亡くなった親とつながっている」と感じているようすが、各々の言葉で描かれていました。「父の日」や「母の日」、誕生日や家族の記念日など家族を意識させるときは、グリーフが揺れ動きやすくなります。そうした時期に、子どもたちが自らのグリーフや気持ちに丁寧にふれることは、亡くなった親との「つながり直し」をするきっかけになっています。

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あしなが育英会の心のケアの拠点「レインボーハウス」では、遊びやおしゃべりを通して、「自分の気持ちに丁寧にふれる」ことを大事にしています。子どもたちと保護者のグリーフに寄り添うため、安全・安心を感じてもらえる環境を大切に、季節や節目に合わせたプログラムを提供しています。
プログラムに参加してみたい方やレインボーハウスの活動についてお知りになりたい方は、以下のフォームよりお気軽にご連絡ください。

 


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