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「若者の力と社会をつなぐ」ウガンダ出身留学生アポロさんの志が最優秀賞

幼少期に父親を亡くし、小学校に通い続けることも困難だったウガンダ出身のアポロさん。

あしながアフリカ遺児高等教育支援100年構想』の奨学生(以下、100年構想生)として国際基督教大学・教養学部(東京都三鷹市)で学びながら、志ある若者と社会をつなぐNPOの創設者・リーダーとして世界を股にかけて活動しています。

念願の日本留学 感動を呼んだアポロさんの「志」

2023年11月4日、東京で開催された第6回世界青少年「志」プレゼンテーション大会(*1)で、アポロさんは全エントリー3,320人中から、最優秀賞(2人)と環境大臣賞に選ばれました。

※1 一般社団法人 志教育プロジェクト主催、文部科学省、外務省、環境省などが後援

 

英語によるプレゼンテーションの一部を日本語で紹介します。

 

私が育ったウガンダの町では、空腹で路上に寝ているホームレスの子どもたちがたくさんいました。雨が降っても身を守る屋根がありません。病院では医師が足りず、外で痛みに耐えながら長時間待っている患者をたくさん見かけました。そのことが悲しくなり、何か助けになりたいと思いましたが、自分の歳では何もできませんでした。

 

しかし、私を勇気づけたのは、先生がいつも「私たち若者は未来のリーダーであり、この悲しい状況を変えることができる」と言ってくれたことです。高校卒業後、コミュニティの状況を改善する役に立ちたいと思い、大学進学の本格的な準備を始めるまでの間、様々なNPOのボランティアに応募しました。すると、いつも「若くて経験が浅いので無理だ」と言われました。そんな時は、私を勇気づけてくれた先生の言葉は嘘だったのだろうかと思ったこともありました。

 

私は「若者にはコミュニティの問題を解決したいという情熱も、未来を変えられる可能性もあるのに、若いからと言って参加が制限されていいのか」と自問しました。

 

答えは「ノー」です。

 

そこで私は『Signals from the Grassroots』というNPOを設立しました。ここでは、仲間とともに、社会をよくしたい若者の情熱・願望とコミュニティのニーズの間のギャップを埋めることを目指します。

 

例えば、このNPOの活動で、栃木県のアジア学院と協力して、サブサハラ・アフリカ地域やカリブ海地域の開発途上国から若者を募集し、9か月間日本で近代的な農法を学ぶプログラム等も実施しました。参加者は帰国後、その技術を生かして故郷の農業改善に取り組みます。

他にも、若者が木のオーナーとなり、自分のペットと同じように世話をすることを目的とした「Own a Tree」プロジェクトや生理用ナプキンがないために学校を中退する女子の問題を解決するため、再利用可能なナプキンを作り、地方の女子学生に提供することも行っています。

 

私は、若者が地域社会の問題解決に貢献する機会を与えられる世界を目指しています。

会場に向かって志を熱く訴えかけるアポロさん

アポロさんを突き動かした少年時代と故郷の光景

アポロさんは4歳のとき、心臓発作により父親を亡くしました。小学生の頃は、金属くずなどを集めて学費を稼ぎ、学校に通う日々。それでも学校には行けたり行けなかったりで、遺児への基礎教育支援を行う「あしながウガンダレインボーハウス」(ウガンダ・ナンサナ市)が提供したノートや筆記用具を使い、懸命に勉強を続けました。

 

そんな努力が実り、高校を無事卒業。その後、100年構想生として採用され、2020年9月から国際基督教大学(東京都三鷹市)で学ぶことが決定しました。そんな矢先にコロナ禍が始まり、渡航制限で来日を足止めされることになります。

 

1年後の2021年夏、折れそうな心を奮い立たせようとするようなアポロさんの言葉が届きました。

 

「ウガンダの生活は日々厳しくなっています。朝目覚める度、何もやることがないことに気づき、『このままではいけない』と思うのです。私は、家族や隣人の暮らしをよくしたい。私にもできることがあると思います。毎日、目に映るすべての景色が、自分を突き動かすモチベーションなのです」

 

彼はその言葉通り、自分でできることを始めました。「ナンサナ・クリーニングクラブ」の活動です。彼は委員長として、約100人の若者たちと市場や学校の清掃活動やコロナ感染防止の啓発に取り組みました。この活動は注目を集め、“25 Under 25:Leaders Changing The Game 2020”など、国際的な賞を受賞しました。

>>>生まれ育った町の「フューチャーリーダー」を目指して|100年構想生

 

そして、念願の来日を果たしたアポロさんは、大学で学ぶ一方、2022年12月に、若者の力を社会の改善に生かすNPO『Signals from the Grassroots』を設立したのです。

 

>>>アフリカ奨学生が『アフリカ系の最も影響力のある100人(40歳以下の部)』に選ばれました!

アポロさんのお母さんに聞きました

アフリカ事業部のヤスミン職員(モロッコ出身)が2023年10月、ウガンダ・ナンサナ市のアポロさんの実家を訪ね、あしながウガンダレインボーハウスでコミュニティワーカーとしても働く、母親のナンブース・ベティさんにお話を伺いました。

 

アポロが4歳の頃、夫は心臓発作で突然亡くなり、生活が一変しました。それから私は、アポロとアポロの姉のクリスティンの2人をシングルマザーとして育てるため、よその家の掃除や洗濯など、さまざまな仕事をしてきました。学費を稼ぐために水汲みでも何でも無我夢中で働きましたが、2人の子どもたちの学用品を購入する余裕はありませんでした。

 

そんな時に、ウガンダレインボーハウスのケアプログラムの支援を受けることができるようになったのです。まるで、ずっしりと背負っていた100キログラムのとうもろこしの粉袋を、「あしなが」が取り去ってくれたような気持ちになりました。ようやくひと息つくことができた、そんな気がしました。

 

アポロには、自らが望む人生を送るためには、教育が大事だと伝えてきました。厳しい環境で育ってきた自分の生い立ちを振り返ると、教育こそが多くの可能性の扉を開けてくれるとわかっていたからです。今、本当に幸せで、アポロのことを誇りに思っています。きっとアポロはアフリカや世界を助けるとても重要な人物になると確信しています。

 

ウガンダレインボーハウスでは、ケアプログラムに通う子どもたちやその家族のサポートをしています。子どもたちの家族は、子どもの学費や家賃を払う余裕がなく、子どもたちに十分な医療を受けさせるお金もなく、服や食べ物などの基本的なものを手に入れるのも難しいという現実に直面しています。私も同じでした。だから、「あしなが」が私の家族や子どもたちを支援してくれたお返しができればと思っています。

 

ウガンダレインボーハウスの子どもたちにいつも「サポートしてもらっていることをしっかりと受け止めて忘れないように」と話しています。あたたかい心を持ったすべてのあしながさんに感謝しています。

>>>インタビュー全文は「アフリカ遺児支援レポート2024年冬号」でご覧ください

 

アフリカの未来を担う次世代リーダーを育成するプログラム

あしながアフリカ遺児高等教育支援100年構想」は、サブサハラ・アフリカ地域49か国から優秀な遺児を選抜し、世界の大学に留学する機会を通して、母国の発展を担うリーダーを育成しようという取り組みです。アポロさんのような次世代のリーダーを数多く輩出できるよう、今後もアフリカ遺児たちが持つポテンシャルを開花させられるようサポートしていきます。

 

>>>「アフリカ遺児支援レポート」で100年構想生の活躍を知る

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