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中学卒業を迎えた子「たくさんの人に支えられた10年間、ありがとう」|遺児の作文紹介

まもなく卒業シーズンを迎えます。あしながレインボーハウスでは、毎年3月に「全国小中学生遺児のつどい」を開催し、中学3年生の子どもたちの「つどい」と「中学校」の卒業をみんなでお祝いします。巣立っていった子どもたちの中には、高校卒業後、「次は自分が支える側になる」とファシリテーター(プログラムを運営するボランティア)になってくれる子も。卒業という節目の時期を迎えた中学3年生の様々な想い、感謝の言葉がこもった作文をお届けします。

遺児の作文

いつも笑顔で頑張ります

 

私が5歳の時に私のお父さんは亡くなりました。前の記憶は全然残っていないけれど、その時の記憶は今でもはっきりと覚えています。

初めて「あぁ死ぬってこんなにも悲しい事なんだな」と思いました。私たち家族は大泣きをしました。何日か後にはお父さんは骨になってしまい、お墓に埋められてしまいました。

 

小さい時からお父さんがいないから、それが当たり前で生活してきたのですが、たまに周りのお父さんを見たり、テレビの家族を見たりすると、さみしくなります。でも私は弱い所は周りに見せず、いつも笑顔で頑張ります。どうしても、つらくなって弱さを見せたくなったら、レインボーハウスに来てたくさん泣いて、また元気に過ごそうと思います。

(2014年3月 全国小中学生遺児のつどいにて) 

 

たくさん話せた

レインボーハウスに着いて、建物に入って荷物を置いたらファシリテーターがやさしく話しかけてきてくれて、少し気持ちがほっとしました。この場所はいつ来ても変わらない、いい場所だなーと思いました。

今回のつどいで、たくさんの自分の心に溜まっている事を話し、他の人の体験を聞けて良かったです。

お風呂の後、いつもとちょっと違う、キャンドルファイヤーをし、とてもいい気持ちのまま2日目を終わる事ができ、こうして最終日の今を迎える事ができました。今回で小中学生のつどいは最後だったけど、今までで一番楽しく笑ったような気がしました。

高校へ行ってもここで経験した事を忘れずに日々を過ごしていきたいです。

(2014年3月 全国小中学生遺児のつどいにて)

 

レインボーハウスが大事な場所に

 

僕が、このレインボーハウスに初めてきたのは、小学校6年生の時です。その時は新しいゲームが発売したばかりだったので、行くのが面倒くさいなと思っていました。いざ来たとしても人見知りが激しいので、ほとんど人と話すことができませんでした。

でも夜ごはんの時に隣になった男子と仲良くなって、またこの人と会いたいなと思うようになりました。2回目は、ただただもう一度話してみたいと思っていただけですが、だんだん話したい、もう一度会いたいと思える人が増えて、レインボーハウスが大事な場所になりました。

そして、そのきっかけをつくってくれたのは、このレインボーハウスと、あしながさんと、みんなのおかげなので、この機会をつくってくれた全ての人に感謝したいです。

(2019年3月 全国小中学生遺児のつどいにて)

 

あしながさんへ

 

私は幼稚園年長のとき病気で父を亡くしました。今、中学校卒業と同時にあしながレインボーハウスも卒業となりました。約10年間、このレインボーハウスにお世話になってこれからしばらくここに来れないと思うと、とても悲しいですが、感謝したいことがたくさんあります。

始めてここに来たとき、知らない人がたくさんいて、すごく緊張していたのをよく覚えています。それでも、たくさん話しかけてくれるファシリテーターや職員の人たちのおかげで、ここが大好きになりました。大きくなってくると、姉とふたりで電車で行くことも増え、今ではひとりで行くのも慣れたぐらいです。

 

中学生になると、部活が忙しくなり、あまりつどいに来ることができなくなってしまいました。それでも年に1、2回は参加し、小さい子たちと遊んだり、ファシリテーターと話したりして、明日から頑張ろうと思えた。ここに来た事で、たくさんの人に勇気をもらって、たくさんの困難を乗り越えることができました。ここで出会えた人たちにすごく感謝しています。

 

私は無事に中学校を卒業し、行きたかった高校に進みます。これからまた沢山いやなこと、辛いことがあると思いますが、ここで出会った人たちのことを思い出して、充実した3年間にしたいです。そしてまた、ファシリテーターとしてここにもどってきて、昔の私のような子たちに、今度は私が勇気づけてあげられたらいいなと思っています。

 

10年間、長いようであっという間だった毎日は、たくさんの人に支えられてきました。

そのことに感謝し、これからの毎日を大事に生きたいです。10年間、ありがとうございました。

(2017年3月 全国小中学生遺児のつどいにて)

グリーフと共に生きる

家族と祝う卒業や進学といったイベントがある時期は、親を亡くした子にとって、グリーフ(grief:喪失による心と身体のさまざまな反応)が揺れ動きやすい時期のひとつです。グリーフは日本語で「悲嘆」と訳されることが多いですが、子どもたちの作文にもあるように、亡くなった人を思慕することや、愛惜の感情を抱くことも含まれます。

 

「卒業式で他のお父さんを見るのが辛い」

「亡くなった母にも、合格を祝ってもらいたかった」

「天国で高校生活を見守っていてほしい」

 

卒業や進学を控えた時期、子どもたちから聞こえる言葉です。

 

子どもたちは自分の気持ちの中で、亡くなった人とつながり続けます。グリーフは心の中で、大きく揺れ動いたり、小さくなって落ち着いたりしますが、全く無くなることはありません。人生の様々な場面で、亡くなった人へのグリーフを感じながら、少しずつでも前へと歩みを進めていくのだと思います。

 

ご紹介した作文は、子どもたちがプログラムを通して自分の体験と向き合い、その時感じたことを書いたものです。

親を亡くした子どもたちの心を知っていただく一つの機会となりましたら幸いです。

 



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