「東日本大震災でこまっている人をたすけたい!」 “ちいさなあしながさん”と交流会
東日本大震災で困っている人たちのために役立ててほしいと、宮崎県にある「石井記念やまばと保育園」の卒園児19名から、畑で育て、保護者に買ってもらった大根の売上金をご寄付いただきました。
※やまばと保育園の“ちいさなあしながさん”からのご寄付の経緯については、こちらの記事をご覧ください。
いただいたご寄付は、東日本大震災で親をなくした子どもたちのグリーフサポート*をしている本会の心のケアの拠点である仙台、石巻、陸前高田レインボーハウスの活動資金として使われます。
*グリーフサポート:自分の喪失体験と丁寧に触れ合えるようにすること
とてもめずらしい保育園児の“あしながさん”ということもあって、子どもたちに直接お礼と使い道を伝えたい!とオンライン交流会をすることになりました。
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3月某日のオンライン交流会に集まったのは24名。やまばと保育園からは「ちいさなあしながさん」19名と先生たち、あしなが育英会からは東北出身のあしなが奨学生が2名、仙台レインボーハウスと石巻レインボーハウス、本部事務所(東京)の職員がそれぞれ1名ずつです。なんと最北端は宮城県、最南端は宮崎県と、日本各地からの参加となりました。
参加者全員が画面上につどうと、子どもたちから「おはようございまーす!」と大きな声でご挨拶。オンラインイベントとは思えないくらい、あっという間に雰囲気がほっこりと和みました。
それぞれ自己紹介をしたあとはさっそく子どもたちに、ご寄付のもとになった大根づくりの体験談を聴かせてもらいました。大根畑のお世話は楽しかったけど、とても大変だったそう。
3か月も頑張って育てた大根の売上を、子どもたちがどんな気持ちで寄付をしてくれたのか知りたいと、仙台レインボーハウス職員の中村から「なんで頑張って(大根を)育てて、開いた“だいこんやさん”(お店)のお金をあしながに寄付しようって思ったのか教えてほしいな」と尋ねてみました。
すると子どもたちから返ってきたのは、「こまってる人たちをたすけるため!」という大きな声。ある女の子は、「お父さんやお母さんが地震でいなくなった人のためにつかってくれたらうれしいです」という気持ちも教えてくれました。直接耳にする子どもたちの素直な言葉に、職員も奨学生も胸がいっぱいになりました。
そこで次は、子どもたちの想いが詰まったご寄付の使い道を職員から紹介することに。レインボーハウスの紹介動画を見せながら、レインボーハウスがどういうところで、どういう人たちが集まり、どういう遊びをしているのか、などを説明しました。
また、レインボーハウスのグリーフサポートプログラムで、子どもたちに寄り添うボランティアとして活動しているあしなが奨学生のもっさんに、レインボーハウスでの過ごし方を話してもらいました。
レインボーハウスに集まる子どもたちはやまばと保育園のみんなと同年代の子から中高生までと幅広く、一緒に身体を使う遊びをしたり、カードゲームをしたり思い思いに過ごしていて、七夕やクリスマスなどの季節のプログラムも行っているとのこと。
大切な人との死別を経験していると人生の節目や季節行事などは気持ちが揺れ動きやすいので、レインボーハウスではそういう時期に遺児や保護者のみなさんが素直な想いを共有できることを大切にしています。
最後の質問タイムでは、子どもたちからたくさんの質問が挙がりました。
「地震のとき、どこに逃げますか?」「何を準備していたらいいですか?」など、大人顔負けの防災意識の高い質問が次々と出てきて、職員もびっくり!「非常用のリュックには、何を入れたらいいですか?」という質問に対しては、石巻レインボーハウス職員の四海から、「食べ物や水以外にも、お気に入りのお菓子やおもちゃを入れておくといいよ」という答えが。もし避難所で過ごすことになったら、よく食べるお菓子や今使っているおもちゃがあると心が落ち着くから、だそう。子どもたちからの質問のおかげで、参加した職員や学生にとっても勉強になりました。
いつ、どこで起こってもおかしくない災害。宮崎県も津波リスクが高い地域であるため、やまばと保育園では普段から防災学習をしているそうです。子どもたちが災害を「自分のこと」として考えているからこそ、被災した人への思いやりの気持ちが育まれてきたのかもしれません。
「こまっている人をたすけたい」
“ちいさなあしながさん”のやさしい想いを知ることができて、とても心温まる時間となりました。
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■あしなが育英会による2022年の東日本大震災遺児支援レポートはこちらからご覧ください。