レインボーハウスのクリスマス~12月の活動報告~
あしなが育英会の心のケアの拠点であるレインボーハウスでは、今年も毎年恒例のクリスマスプログラムを開催しました。
「お父さんが亡くなってはじめてのクリスマス、どう過ごしたらいいのかな」
「クリスマスの準備が辛い」
イベントごとが続くこの時期は不意に家族を意識させられ、死別によるグリーフ(grief:喪失に伴う様々な反応)を実感しやすくなります。
親を亡くすという経験をした参加者が集まり、時間と空間を共有するからこそ、揺れ動く気持ちも安心してありのままに表現できる場所、それがレインボーハウスです。クリスマス時期のプログラムを、毎年、多くの子どもたちが楽しみにしています。
あしながレインボーハウス(東京)
12月16日(土)と17日(日)、あしながレインボーハウス(東京都日野市)を会場に、日帰りのグリーフプログラムを開催しました。2日間合わせて、子ども33名とその保護者25名が参加し、29名のファシリテーターと一緒に過ごしました。
両日とも、プログラムは「クリスマスランチパーティー」からスタート。乾杯のあとは、特製ランチを楽しみました。
みんな笑顔で乾杯
ランチでおなかを満たしたあと、子どもたちは元気に遊びまわりました。12月とは思えない暖かい日差しのなか、外での探検や鬼ごっこを楽しむ子もいれば、 屋内でバドミントンやボードゲーム、大縄跳びなどをして過ごす子たちもいました。
大縄跳びで大盛り上がり!
死別を経験したご家庭にとって12月は、街がにぎやかになるにつれて様々な気持ちが入り混じる時期とお聞きします。参加者のみなさんが、少しでも穏やかにクリスマスを迎えられるようなプログラムを用意しました。
クリスマスプログラムの企画として準備したツリータペストリーに飾るための家族写真を傍に置いて、亡くなった人との思い出などについておしゃべりしたり、 亡くなった人に届けたいクリスマスプレゼントやどんなクリスマスを過ごしたいかについてみんなで一緒に考えたり。それぞれが自分の気持ちに丁寧に触れながら、仲間たちと気持ちを共有しました。
「亡くなった人に届けたいプレゼントは?」の質問には、マフラーや旅行券、時計、感謝の言葉などが挙がりました。自分の成長した姿を見せたいといった回答もありました。
「亡くなった人に届けたいプレゼントは?」じっくり考える時間
あしながレインボーハウス 次回のプログラム予定
2024年1月20日(土)、21日(日) ワンデイプログラム
首都圏にお住まいの遺児家庭が対象となります。参加してみたい方や、話を聞いてみたい方は、本記事末尾のフォームよりお問い合わせ下さい。
神戸レインボーハウス
神戸レインボーハウスでは、12月3日(日)に「開放日」、17日(日)に「クリスマスのつどい」を開催しました。2日間で、子どもは延べ21名、保護者は延べ15名が参加しました。
「クリスマスのつどい」は今年最後のプログラム。受験勉強や部活で普段は来られない子どもたちも集まり、「久しぶり!」、「元気だった?」などにぎやかな声がレインボーハウスに響き渡りました。
ここ数年はコロナ禍の影響で、プログラムのなかで、みんなで一緒に食事をする機会を持てていませんでした。今回は久しぶりのランチタイムです。
テーブルに並んでいるピザを見た子どもたちから、「うれしい!」、「やったー!」という大歓声が上がります。食事を楽しんでいる間も、学校の話や最近頑張っていること、好きなアイドルなど話したいことが盛りだくさんな子どもたち。食堂は明るい声で溢れていました。
談笑しながらみんなでお昼ごはん
昼食の後、子どもたちは自由時間です。
サッカーや卓球で身体を動かす遊びをする子もいれば、こたつに入って絵を描く子、ピアノやギターを弾く子もいました。オーナメントに「幸せになれますよーに」と願いを書く子も。他の子どもたちやファシリテーターに見守られながら、クリスマスツリーに飾っていました。
保護者の方々とは、一年を振り返り、辛いことや楽しかったことなど、率直な想いを共有する時間を持ちました。
子どものこと、仕事のこと、自分のこと。想いを吐き出すなかで、「亡くなった直後は記憶がないほど大変だったけど、本当によく自分は頑張ったと思う」と涙ぐむ場面も。
最後は、全員集合してクリスマス会を行いました。まず、子どもたちが自分の好きなことや得意なことを紹介してくれました。自分で撮影した写真をまとめたアルバムを見せたり、家で飼っているトカゲの紹介をしたり、親子でダンスを披露したり、「おー!」「すごい」といった驚嘆と笑い声の連続でした。
自分で撮影した写真アルバムを紹介
この日一番の歓声とともに、最後にサンタクロースが登場。 一人ひとりの手にクリスマスプレゼントを渡していきました。
子どもたちに迎えられてサンタクロースが登場
子どもたちはお互いのプレゼントを見せ合い、(子ども用のメイク道具を見て )「いつつける?」、「レインボーハウスに来るときにつけていこうかな」と笑顔で話していました。
帰り際、子どもたちや保護者から「めっちゃ楽しかった」、「温かい時間で心が癒されました」、「クリスマスをみんなと祝えるのはレインボーハウスだけです」などの感想が寄せられました。今年のクリスマスプログラムも、つながりを感じる充実した時間となりました。
東北レインボーハウス
仙台レインボーハウスでは、12月2日(土)から3日(日)に18歳以上の東日本大震災津波遺児を対象とした宿泊プログラム「にじカフェ」を、12月17日(日)に「クリスマスワンデイプログラム」を開催しました。
「クリスマスワンデイプログラム」の当日、スタッフを含む参加者数は総勢50名を超え、今年一番の規模の集まりとなりました。参加者のなかには、普段、石巻や陸前高田のレインボーハウスで開催しているプログラムに参加していて、仙台レインボーハウスでのプログラムには初参加という方もいました。
参加した子どもたちの中には、サンタクロースやトナカイ、雪だるまの衣装を着ている子がいたり、昼食にはピザやカップケーキが用意されていたり、レインボーハウスはクリスマスらしい雰囲気に包まれていました。
今年のプログラムは、子どもたちが自由に遊べる時間や毎年恒例の音楽会&朗読会に加えて、地元プロ野球選手が登場する特別イベントも用意され、楽しい企画が盛りだくさんでした。
毎年恒例の音楽会
自由に過ごす時間、子どもたちは、多目的ホールで鬼ごっこをしたり、卓球・バドミントンで汗をかいたり、クッションやソファに座って、学校のことや友だちの話をしたり、それぞれ思い思いに過ごしていました。
昼食の時間には、ふと、「生きること、死ぬことってなんだろうね」と言った子どもがいました。周りの参加者や職員、ファシリテーターも意見を交わすほどに発展し、自然とお互いの考えを共有する場面がありました。気になったことを口に出すことができ、それを否定や評価せずそのまま受け止める人がいる環境は、レインボーハウスの特徴です。
クッションに身を委ねておしゃべり
プログラムの最後には職員から子どもたちへ、「あしながさん」のお話をしました。
目の前にいるファシリテーターだけではなく、直接は会えなくても応援してくれている人の気持ちがたくさん集まって、プログラムが継続して開催できていることを伝えました。その場で深くうなずきながら話を聞いていた子どもたちの様子から、あしながさんの優しい気持ちを届けることが出来たと感じています。
最後はみんなで輪になって「またね」
レインボーハウスのプログラムに関心のある方へ
あしなが育英会では、次の5か所にあるレインボーハウスで、親を亡くした子どもたちの心のケア(グリーフサポート)活動を行っています。子どもたち一人ひとりのグリーフ(grief:喪失に伴う様々な反応)を支えるため、子どもたちの身体の安全はもちろん、心の安心を感じてもらう環境を大切にしています。
お話を聞いてみたい方、プログラムのご参加を希望される方は、お気軽にお問い合わせください。
- あしながレインボーハウス(東京)…全国の遺児が対象
- 神戸レインボーハウス
- 仙台レインボーハウス(東北レインボーハウス)
- 石巻レインボーハウス(東北レインボーハウス)
- 陸前高田レインボーハウス(東北レインボーハウス)
レインボーハウスでのボランティアを希望される方へ
レインボーハウスでのプログラムには、ファシリテーターと呼ばれるボランティアの方が不可欠です。
一緒に遊んだり、おはなしをしながら子どもたちの気持ちに寄り添います。
2日間の「ファシリテーター養成講座」受講後に、実際のプログラムにご参加いただけます。