「ありがとう みまもっててね これからもがんばるね」~3.11関連プログラムを開催~
レインボーハウスで共に過ごした『3月11日』
「この日は誰かと過ごしたい」「レインボーハウスで過ごしたい」と感じる方のために、13回目の3月11日も、仙台、石巻、陸前高田にあるレインボーハウスは、例年のとおり「開館日」でした。
亡くなった母の形見を持参した方や、結婚し親となって我が子と一緒に来館した方など、当時の体験も今の状況も、一人ひとり異なっていますが、来館された方たちと共に、あたたかな雰囲気の中で震災の日を過ごしました。
地震発生時刻の14:46には、海に向かって黙とうを捧げました。それぞれの想いや願いがこもった沈黙がレインボーハウスに静かに広がっていきました。
海に向って並び、黙とうを捧げた(陸前高田レインボーハウス)
陸前高田レインボーハウスの壁にある「あしながさん」の身長記載板。たくさんの子どもたちの成長を見守ってきた。
『2024年 こころの居場所・交流のつどい』 in 仙台レインボーハウス
2024年3月16日(土)には、仙台レインボーハウスで「こころの居場所・交流のつどい」を開催しました。東日本大震災津波遺児とそのご家族とともに、亡き家族を偲びました。
また、参加者自身が自分の気持ちに丁寧に触れられるよう、「いま」「これまで」「これから」を分かち合う時間を設けました。震災・津波遺児グループと保護者のグループにわかれて語り合ったほか、キャンドルを見ながら想いを共有する「キャンドルタイム」を実施しました。
震災・津波遺児グループ
中学3年生から社会人まで、計7人が参加しました。今日に至るまでの様々な経験や、その時々の心境を語り合い、みんなで共有しました。
震災当時は小学生だった、ある大学生は、他の参加者の話を聞いているうちに、両親と過ごした時間よりも死別してからの時間の方が長くなっていることに気づき、「どんな言葉にしたらよいかわからないけど、気づけて良かった」と話していました。
自分年表を書いて、自分の歩みを振り返る
保護者グループ
今年参加した保護者はお二人でした。それぞれ4人の子どもたちを育ててきた、お父さんとお母さんです。
最近の1日(24時間)の過ごし方を紹介してもらい、震災から13年が経過して、生活がどう変化してきたかを語り合いました。
「数年前まではお弁当3つの用意とクラブ活動の送り迎え、仕事と、1日2~3回の洗濯や3食分の料理で目いっぱいだったけど、最近は娘とテレビをみて語らう時間もできた」と語ったお母さん。コロナ禍には、忙しい合間を縫って勉強し、資格取得をしたそうです。
お父さんは、しばらく遠方で働いていましたが、昨年の秋に郷里の岩手県に戻ってきました。長年誰も住んでいなかった自宅を、亡くなった妻の面影を辿りながらリフォームして、今は1人の時間を過ごしていると言います。既に独立している子どもたちとも会う機会が増えた、と語ってくれました。
お互いの歩みに耳を傾ける
キャンドルタイム(みんなの時間)
キャンドルタイムには、まず「亡くなった人へのメッセージ」「震災から13年歩んできて、いま思い浮かぶ言葉」などを、好きな色のペンで紙に書き出しました。それからキャンドルに火を灯し、穏やかな光の中で、ひとりずつ自分が書いた言葉を読み上げました。
「ありがとう みまもっててね これからもがんばるね」
「いつもありがとう! やっと高校生になれました~!! また家族で旅行したいね♡ 」
「楽」(少し楽をしてもいいのではないかと思う気持ちと、楽しみたいという気持ち)
「ともに生きることで世界は変わる」
キャンドルの周りにそれぞれのメッセージを置いて、あかりを見つめる
震災の影響は、ある日、「これで終わり」ということはありません。
レインボーハウスでは、これからも、参加者がそれぞれの歩みを振り返り、確認し、また歩き出す場として、「心の居場所」を提供し続けていきます。
あしなが育英会の東日本大震災支援
震災発生後、あしなが育英会では、職員と大学奨学生がチームを組み、給付金などの支援情報を届けるための「お知らせ隊」を結成。確認された2,083人の震災遺児に特別一時金を支給しました。また経済的支援だけでなく、親を亡くした子どもたちの心のケア(グリーフサポート)、海外からの震災遺児招待プログラムのコーディネートなど、幅広い支援活動を行ってきました。
2014年には宮城県の仙台市、石巻市、岩手県の陸前高田市にレインボーハウスを建設し、東日本大震災遺児とご家族のためのグリーフサポートの拠点としました。今日までに、のべ5,800名以上の子どもたちがプログラムに参加しています。
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遺児支援をご検討中の方向けに、さまざまなご支援方法をまとめた記事をご用意しています。
>>>ちょっとだけ、誰かのために。遺児支援のためのGiving
親を亡くした子どもとご家族を支える場があります
大切な人との死別を経験すると、「グリーフ(愛惜・悲嘆)」と呼ばれる感情・反応が生じることがあります。
あしなが育英会の心のケア活動の拠点・レインボーハウスでは、子どもたちと保護者の方のグリーフに寄り添うため、安全・安心を感じてもらえる環境をつくり、定期的にさまざまなプログラムを行っています。
プログラムに参加してみたい方やレインボーハウスの活動についてお知りになりたい方は、以下のフォームよりお気軽にご連絡ください。
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あしなが育英会では、一人でも多くの方に、遺児や遺族の気持ちに触れ遺児支援への理解を深めるきっかけとしていただけるよう、遺族の手記をまとめた作文集を作成しました。ご希望の方に、以下の2種類を冊子代・送料含め、無料で進呈しています。
■ お父さんを亡くした子どもたちの作文集 『父の日にお父さんはいない』
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