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“気持ちは同じなんだ” ―第3回「東北と神戸 交流のつどい」を開催

阪神・淡路大震災から29年、東日本大震災から13年がまもなく経ちます。2023年11月25日(土)、コロナ禍を経て4年ぶりに「東北と神戸 交流のつどい」を開催しました。

 

交流のつどいは、阪神・淡路大震災、東日本大震災で親を亡くした子どもとその保護者が交流し、それぞれの歩みや気持ちを分かち合うことを目的にスタートしました。初回の2018年と第2回目の2019年は仙台レインボーハウスで、第3回目の交流会は神戸レインボーハウスで実施されました。

神戸の地に集う

当日の参加者は総勢42名。東北からは、高校生や社会人、保護者の計20名が、開催地となった神戸からは、現在30代、40代となった当時の子どもたちや保護者、そして参加者の子や孫である小学生も含めて22名が来館しました。交流のつどいの開催が決まったときから、東北と神戸の参加者それぞれから、「久しぶりに会えることを楽しみにしている」という声がたくさん届いていました。

 

第2回までは仙台レインボーハウスで開催していたため、東北の参加者の中には、神戸レインボーハウスに初めて来館する方も多くいました。到着後は元祖レインボーハウスである神戸RHの館内を見学し、東北RHと同じところ、違うところを見つけていくうちに、緊張していた表情が緩んでいきました。

 

神戸の参加者の多くは、玄関に足を踏み入れるなり「久しぶり」と話し始め、会えなかった時間を取り戻すかのように、おしゃべりに花を咲かせる方も。「懐かしいなぁ」と言いながら館内を見渡すなど、自分の家に戻ってきたような温かな雰囲気でした。

これまでの歩みを振り返って

「おはなしのじかん」には、震災当時の年齢をもとに3つのグループに分かれました。遺児たちは当時を振り返りながら、今のこと、これからのことについて想いを巡らせ、語り合いました。

 

「過去の自分が今の自分を支えている」

 

そう話を切り出したのは、阪神・淡路大震災で母を亡くした神戸の参加者でした。震災後は一緒に住む家族が変わり、授業参観や運動会など一般的には親が参加する学校行事では、周りとの違いから寂しさを感じていたそうです。そんな中で、レインボーハウスで出会った仲間をはじめとした様々なつながりが支えになっている、と率直に語ってくれました。

 

他の参加者も少しずつ、被災当時の想いや、これまでの歩みを言葉にしてくれました。

 

「震災が起きて、がれきに埋もれて自分だけが助かった」(神戸参加者)

 

「津波に流されて、ヘリコプターで助けられた」(東北参加者)

 

「親が亡くなり、きょうだいとは離れ離れで暮らさなければならなかった」(神戸参加者)

 

「誰にも相談できず、ペットに話しかけていた」(神戸参加者)

 

「仕事帰り、私には家がないんだと、電車の中から見える家の光が辛かった」(神戸参加者)

 

「まだ幼かったから震災のことはほとんど覚えていない」(東北参加者)

 

「震災の後すぐに引っ越しをしたから、宮城での生活を思い返すと寂しい気持ちになる」(東北参加者)

 

振り返りを通して、「自分はまだそんな風に感じているんだな」、「本当は自分はこう思っていたんだ」と、あらためて自分自身の気持ちに丁寧に触れる時間を持つことができました。

ライフステージの変化

東日本大震災から間もなく13年が経ち、子どもたちの成長とともにライフステージが変わりつつあります。東北の遺児から質問が出ました。

 

「家族を亡くしていて、新しい家族ができる時、感じることはありましたか?」

 

震災による突然の死別体験から、「新しい家族が出来たとしてもまた別れが来るかもしれない」という恐れが言わしめたものでしょうか。

答えてくれたのは、阪神・淡路大震災の被災者で、当時は中学生、現在は子どもを育てる母となった参加者でした。

 

「私は母親を亡くしたのですが、いざ身ごもってみると不安が大きくなってきて・・・聴く人もおらず、私より先に母親になっていた妹に、一から、ありとあらゆることを聞きました」

 

不安がある中でも周りの人たちの支えを得て、我が子と共に生きていくために自分が強くなることを決意したという女性の言葉を聞いて、質問した東北の遺児は涙を浮かべ、勇気を得たようにうなづいていました。

「一歩踏み出せそうです」ー参加者の声

震災によって大切な家族を亡くした方々が集まった「第3回東北と神戸 交流のつどい」。

久しぶりに顔を合わせる人、初めて参加する人など様々でしたが、参加者からは次のような感想が寄せられました。

 

「場所や亡くした人との関係、年齢などが違っても気持ちは同じなんだと改めてこの場所の大事さに気づきました」

 

「交流のつどいに参加して、自分と似たような思いをしている人と話せてとても良かったです。”自分だけじゃないんだ”、と少し心が休まる気がしました」

 

「今回、初めてあしなが育英会のプログラムに参加しました。震災から10年経って、初めて自分の気持ちに触れたように思います。来る前はとても緊張していたが、今回、参加して、神戸や東北の人と色々話せて本当によかった」

 

「“共感”が安心感につながって、深いお話ができました。年代や住む地域は異なりますが、今後もつながりを持つことが出来ればと思いました」

 

レインボーハウスはこれからも出会いを大切にし、来られる方々が安心して気持ちを言葉にすることで、亡くなった方ともつながりを感じられる場所であり続けていきます。

 

◇◇◇

グリーフサポートを受けたい方へ

あしなが育英会では、次の5か所にあるレインボーハウスで、親を亡くした子どもたちの心のケア(グリーフサポート)活動を行っています。お話を聞いてみたい方、プログラムのご参加を希望される方は、お気軽にお問い合わせください。

 

 


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一緒に遊んだり、おはなしをしながら子どもたちの気持ちに寄り添います。
2日間の「ファシリテーター養成講座」受講後に、実際のプログラムにご参加いただけます。



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